【素材図】
前回【素材図】の形から35角と打つ筋を調べましたが、抜けが沢山あったようです。
それは一つは35角と打つのではなく、35角・24飛のバッテリーの形から21飛成と開き王手しても同じ形になることを見逃していた所為でした。
それにしても私が大道棋に全く興味が無い所為もありますが、「栃木角問題」という名称まであるとは知りませんでした。
やはりブログを書くということは、恥をかくことでもありますが、勉強になります。皆さんも書くこと–outputすることはお薦めですので、どしどしやってみられたら良いと思います。そんなに書くことはないのだが、何本か書いてみたいという方はつみき書店に投稿してください(^^)。いつでも、お待ちしています。
さて【素材図】で角を馬に、龍を飛車にすると……
【素材図2】
やはり24合が必要になります。
この筋は90度回転させたこの構図が有名です。
【素材図3】
29玉では47馬以下詰んでしまうので、48に間駒が打たれます。
例によってこの図は不詰(ツマズ)です。
筆者がはじめてこの筋を見たのは次の作品です。
酒井克彦 『からくり箱』第40番 近将 1976.6
傑作揃いの酒井克彦作品群の中でもひときわ輝いている名作だと思います。
この作品は一度紹介したのと、万が一初見の方には是非自力で解いて感動を味わってもらいたいので,今回は図面だけの紹介です。(作意が知りたければ『からくり箱』を購入するか、このブログを検索すれば見つかります)
そして次に見たのが矢張り名作でした。
若島正 『盤上のファンタジア』第68番 詰パラ 1988.5
『盤ファンタ』は全員持っていると思うので、これも図面だけの紹介。
【素材図3】に18桂を追加しただけの、もっとも素直で自然な逆算だと思います。
(……それがこんな難解作になってしまうのだから困ったものだ。)
さて、この2作はいずれも超有名作です。
そして私はこの2作以外に48合の筋を扱った作品を知りませんでした。
調べてみたら4作見つけることができました。
(他にあったら、教えてください)
発表年順に一気に並べます。
小松隆 将棋評論 1949.9
岡田敏『さわやかな詰将棋105』第98番 近将1992.11
山村政 詰パラ 1999.8
三輪勝昭 詰パラ 2019.8
こうしてみると酒井克彦作の捻り具合が改めて認識できます。
普通は歩合で作るところを、歩をどうやって入手するかという仕上げ。
角を歩に替えるのに中合を用い、さらにその中合を出すための邪魔駒消去という重層構造。
もう酒井克彦は尊敬しかありません。