改訂新版『怒濤』紹介(2)

数回に分けてつみき書店の新刊改訂新版『怒濤』山本昭一詰将棋作品集の紹介をします。
今回は「山本昭一って誰?」という若い方に向けて。

山本昭一は1956年生まれ。

筆者よりも少し上の世代です。
同じ申年生まれの作家が集まって結成された申棋会の主要メンバーでした。
申棋会のメンバーは

    柳田明
    橋本樹
    飯尾晃
    塩野入清一
    斎田喜道
    近藤真一
    吉松智明
    平井康雄
    山本昭一

詰将棋の世界に顔を突っ込んでいる方なら名前を聞いたことのあるそうそうたるメンバーです。なにせ全詰連の会長から創棋会・詰備会の重鎮までゴロゴロしています。

46歳という若さで早世されなければ、きっと今でも詰将棋界をリードする存在だったはずです。

作家としては何といっても「メタ新世界」941手詰が有名です。
しかし「メタ新世界」については後回しにして、今回は山本昭一の短編作品について紹介をしたいと思います。

今回の新版『怒濤』でも約半数の39局は17手以下の短編ですから。

941手詰なんてとんでもない作品を作るんだから、短編も複雑怪奇で恐ろしく難しい作品を作るのではないかと想像されてはいないでしょうか。

否。

山本昭一の短編は筋の良い内容を、極限まで推敲した簡潔な棋形で表現した、明快な作品が多いのです。

論より証拠。
2作お見せしましょう。

山本昭一『怒濤』第15番 将棋ジャーナル 1982.7

山本昭一『怒濤』第17番 未発表

いずれも9手詰です。
(17番は旧『怒濤』をお持ちの方でも初見ではないでしょうか)
どうでしょう。「メタ新世界」のイメージとは異なっていたでしょうか。

しかし愚考するに、このようにシンプルに狙いを表現する技術があってはじめて「メタ新世界」のような複雑な機構を81画の盤面に39枚の駒で詰め込むことができるのかもしれません。

さて、改訂新版『怒濤』は山本氏の命日6月27日の発行ですが、6月の中旬には完成する見通しです。
そこで今までAmazonでのみ予約を受け付けていましたが、つみき書店でも予約販売を開始いたします。
(追伸:6月の詰工房に参加すれば送料なしで購入可能です)

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