山本民雄 詰パラ1970.11
11手の短編で最も有名な作品。
九段目に飛車を打ち、38玉に48銀を動かして開き王手する攻め筋が見える。
するとまずは逃走路になる27を埋める必要があるだろう。
27角、
まずは変化から。
同香成、
59飛、38玉、39銀、29玉、28銀、18玉、
19飛まで
【変化図】
同とでも同じ順で詰む。
そこで作意は
(27)同馬、
今度は同じように攻めると……
59飛、38玉、39銀、29玉、28銀、49銀、
【失敗図】
39銀の攻めでは駄目なら47銀の両王手ではどうか。
59飛、38玉、47銀、37玉、
【失敗図】
37玉で追詰めているが、次の手がない。
実は47銀が邪魔駒で、この駒がなければ57飛までの1手詰だ。
この銀は捨てたい。でもどこに捨てるか。
37銀、同玉が見えるだろうか。
え?37には攻方の桂馬がいて捨てられない?
そう。そこでまずは37桂を消去するのだ。
59飛、38玉、57銀、
この狙いは37桂を消去すること。
37玉、48銀、37銀、
これで銀を捌くことができる。
(37)同玉、57飛まで
さてこれで解決かというとさにあらず。
この順は誤解なのである。
この作品は詰パラで2回出題された。
1回目は1970.4。このときは26香がなく初手から16角で余詰だった。担当者の月桂冠氏の配慮で作意は伏せられ、1970.11に修正再出題。
4月の出題時には63名中32名が誤解。
11月の再出題時には51名中26名が誤解。
10手目の応手が間違えていたことにお気づきだろうか。
58歩、
同飛左、57玉で逃れ
【失敗図】
焦点の捨駒、中合の妙手で59飛が封じられてしまうわけだ。
【再掲図】
それでは再掲図より作意を進めていこう。
99飛、
この最遠打の意味を理解されただろうか。
59飛では58が焦点になる。
69飛は68が焦点になる。
79飛は78が焦点になる。
89飛は論外だ。
38玉、57銀、37玉、48銀、38玉、
37銀、
2枚の飛車の焦点が存在しないことが分かるだろう。
かといって99飛に59金合では同飛、38玉、47銀、37玉、48金で早い。
九段目なので高い間駒しかできないのだ。
同玉、97飛まで11手詰
古今の11手詰のなかでも名作中の名作といえる作品だ。
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《10手目48歩合で2手長駒余り》としなければならないようです。
結果稿(近藤さん)や『看寿賞作品集』(柳田さん)では言及されていませんが。
『この詰2012』では小林敏樹さんが言及しています。
このエントリーでも書いてあったんですが、長くなったのでちょんぎって明日になりました。