昼間勉 近代将棋1970.9
14手目まで進めた所から考えるのも良いだろう。
初手は歩か香か。
96香、95桂、同香、同金、同銀、同玉、
87桂、同金、96歩、
持駒金香では駒が不足。
持駒金歩+合駒を選ぶ。
入手した桂馬を捨てて87金を質にして96歩。
これを取ると……
同玉、87金、同玉、86金、77玉、
22角右成、66飛、
【変化図】
他合は87金打ちから23馬まで。
仕方なく飛車合だが、これは切って簡単。
85玉、95金、76玉、87銀、同玉、
そこで85玉と躱すが、結局質駒の金をとることができる。
ここからが本局のクライマックスだ。
88金、
なんの効きもない所に88金!
最後の持駒なのに衝撃の一手だ。
しかし勿論これは取れない。
同玉、22角左成、
【変化図】
取ると22に左の角が成ってくる。
これは所謂「エンジンがついた」状態なので間駒が効かない。
これで作意に短絡するのだ。
76玉、77金、
逃げる玉に単騎の金が更に追う。
65玉、66金、
夢を見ているような光景だ。
54玉、55金、
見えない効きによって金は守られている。
43玉、44金、
これは取らない訳にはいかない。
32玉なら1手詰だ。
同玉、22角左成、
ここから収束。いや第2幕と言うべきか。
53玉、44馬、
馬で今来た道を追い戻される。
いや攻方としては戻したい訳ではなく、追っているだけだ。
64玉、55馬、
「大駒に追われた夢を見る」という諺はなかったっけか? まさにこのような状況であることは間違いない。
(「二丁飛車に追われる夢を見た」らしい)
75玉、66馬、
玉にしてみたら生きた心地がしないだろうな。
86玉、77馬、
千日手の王手は禁止のルールに希望を持つしかない。
97玉、88馬、
ここで行き止まり。戻る玉に77馬では千日手なので2枚目の馬を作る。
86玉、77角成、
復路は一気に進めよう。
今度は逆戻りしたら、97玉に2枚目の馬が覗ける。
75玉、66馬、64玉、55馬、53玉、
54歩、
54歩と戻り道を閉じて、今度こそ収束だ。
43玉、44馬、42玉、33馬、31玉、
22馬、42玉、33馬上 まで51手詰
最後に『近代将棋図式精選』の森田正司氏の解説を引用しよう。
作者はこの遠隔操作法のヒントを、山田修司氏の二枚飛車による趣向作品から得たということですが、同じような構想を二枚角にかえて、あまり凝らずに仕上げたところが解者に好印象を与える結果になりました。
この「あまり凝らずに仕上げたところが解者に好印象」に共感至極。
山田修司作はいずれ詰将棋雑談の方で。
「詰将棋入門(144) 単金での斜め追い」への1件のフィードバック