詰将棋入門(148) 打歩詰打開

高木秀次『千早城』第82番 詰パラ1965.1

47手詰なので中篇でも手数が長い方に入るが非常に易しいので初見の方は解いてみることをお薦めする。
迷うのは13手目だけ。
高木秀次は難解作で有名。この作品は高木秀次を解く唯一のチャンスかも知れない!?

初形からいきなり打歩詰の形。
手駒に歩が7枚もあるのに使えないということだ。
91と・81銀の形をまずは生かしていこう。

92銀不成、72玉、81銀不成、83玉、

これで72とが原型消去されたので打歩詰が打開された。
(83玉でなく73玉もあるが、これは直感で変化)

84歩、73玉、83歩成、同玉、

83歩成に同歩は74歩、82玉、92とまで。
これで73桂が原型消去された。
73桂を消去した意味は…73歩と打つためだろう。

92銀不成、72玉、73歩、同玉、

これではじめて73の場所に玉を移動させることができた。
この局面が本局で唯一考える所だ。
といっても55角は64歩合で右辺に逃げられるので選択肢は2つしかない。
74歩か95角だ。
二択なので選んだ方が失敗なら、もう片方が正解とわかる。
まずは74歩から進めてみよう。

74歩、72玉、81銀不成、83玉、

74歩を打った意味は95桂、同歩として角でこの歩を取ろうということ。
74歩を置いておかないと95桂に73玉で打歩から逃れられない。

95桂、同歩、73歩成、同玉、95角、

これで同香と取らせて、74歩、83玉、84歩、93玉、92と…となればめでたしめでたしなのだが…。

   83玉、

【失敗図】

83玉と寄られてあとはどうやっても打歩詰の形だ。
玉方はとにかく打歩で逃れることを狙っているわけだ。

【再掲図】

しかし、これで正解は残った道だ。これしかない。

95角、

もう一つの手段95角しかない。つまり、同歩なら…

   同歩、

【変化図】

74歩は桂を捨てて角で取ることを狙い、95角は角を捨てて桂で取ることを狙っている。

74歩、72玉、81銀不成、83玉、95桂、

【変化図】

これで同香と93が空くので84歩、93玉、92とで詰む。
これは持駒が余るので変化。
95角に対してはやはり打歩詰をたよりに逃げるのだ。

72玉、

これで舞台は整った。
まだ手数は30手以上かかるが、「王手を続ける」と考えるとほぼ一本道。
挑戦したけどここまで辿りつけなかった方は、この局面から盤に並べて考えてみるとよいかも知れない。

76との動きに注目!

81銀不成、83玉、75桂、同と、

95角が据えられたので、87桂を使うのは75しかありえない。

84歩、73玉、74歩、同と、83歩成、同玉、

と金をさらに動かしていく。
85銀を動かすと74玉と逃げられるので、85銀は不動。

92銀不成、72玉、73歩、同と、81銀不成、83玉、

まだ84歩としても同ととは取ってくれない。
焦らずに73まで動かす。

84歩、同と、92銀不成、72玉、73歩、同玉、

これで動けなくなったので84歩だ。
これで角が84まで進める。
84の次は…。

84角、72玉、81銀不成、83玉、93角成、

77にいた角が77→95→84→93と細かく移動して、念願の歩以外の駒「香」を入手した。

   同玉、92と、83玉、
84歩、73玉、74香まで47手詰。

13手目は74歩と95角の二択と書いたが、ずるい考え方をすればここは95角が正解だとわかる。
それは74歩だとすると95桂のタイミングがいくつかあるからだ。
出題された詰将棋には余詰がないはずという裏筋の解き方。
良い子は解答選手権のとき以外では使ってはいけません。

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