この連載は余詰の検討に柿木将棋をツールとして使用していきます。購入方法・インストールの仕方は第1回。基本的な使い方は第2回を参照してください。
柿木将棋のインストールが済んだので、いよいよ実作に入ろう。
詰将棋を作るのに最初に考えることは「何を狙いとするか」だ。
これは当たり前のことで、何を作るのかわからずにものを作ることはできない。
もちろん狙いといっても、その創作難易度も方向性もさまざま。
だいたいオイラが現役作家だった頃は「ほんのり気持ちよい手順を作る」という狙いだった。
「今まで誰も見たことのない構想を含んだ作品を作る」という人もいれば「趣向手順を含んだ煙詰を創る」という人もいるだろう。「誰にも解けない難しい作品を作る」という人もいた。人それぞれだ。
何を作ればよいかわからないという方は、まずはたくさんの作品を鑑賞して、自分の好きな方向性を把握するのが良い、というのが常識的な線だろう。
でも。それでは面白くないので、ついついタイトルに「特訓を始めよう」と書いてしまった。
創作技術を向上させる詰将棋特訓
かつての詰将棋作家たちがクリアしてきた詰将棋創作特訓にはどのようなものがあるだろうか。
とにかく100局作る
もう100回くらい言った気がするが、詰将棋の作り方なんて決まったものはないのだから、自分の作り方を求めてとにかく作るしかない。これが一番真面目な回答だ。
オイラの最初の創作ノートが多分100局ぐらいあったと思う。
その中からまがりなりにも活字になったのは3局。
自分としては、まずまずの成績だと満足した記憶がある。
まずノート1冊、完全作を作る。
こう書いても良いだろう。
五手詰を100局作る
そういえば、捜索開始当初は5手詰をとにかく沢山作ったという人もいた。
「5手詰」と条件を絞った方が作りやすいかもしれない。
あらゆる手筋を5手詰で作る
これはもちろん5手詰で表現可能な限りの話だ。
『無双』・『図巧』を作り直す・短編化する
これを実行した人も多いだろう。
新作といえる成果が出れば、発表することもできる。
受賞作などを改良する
そういえば半期賞作品などを弄くっては、「駒数が減った」とか「限定打が入った」とか改良するのが趣味という人もいるようだ。余詰作を修復するのが好きという人もいるから人は本当にさまざまだ。
しかし、作図力の向上訓練には良いかもしれない。
改良図を作者に送りつけたりするのはやめておこう。
いや、この連載はチョー入門だった。
ズバッと課題を出していこう。
(それでは「詰将棋つくってみた」と同じだな。もっと単純な課題にすればいいか)
チョー入門課題
○○飛(成)、同○、○○■まで3手詰
のタイプの3手詰を10局以上作ってください。
要は「飛車を捨てる3手詰」だ。
飛車をどの方向から王手するか。上・横・下の3方向が考えられる。
飛車を何間離して王手するか。0~7間離が考えられる。
持駒を打って捨てるか、置き駒を捨てるかも考えられる。
成り捨ての場合、玉のコビンへの王手も考え等得る。
さらに捨て駒の意味付けも幾通りも考えられる。
10局以上は簡単な課題だろう。
さて、そこで今回は柿木将棋で複数の作品をまとめて検討する方法について。
今回の課題をフォルダを作ってその中に棋譜ファイルを収納したとしよう。
例えば図のように15作保存したとする。
なお、オイラは拡張子ki2を使っているが、拡張子kifでも差し支えはない。
どれか1つを開いて、柿木将棋を起動する。
【対局】→【詰将棋の連続実行(C)】
次にフォルダを指定する。
→【参照(R)】
オイラの場合は[飛捨3手詰]というフォルダに入れてある。
【余詰検査】にチェックを入れて【OK】でフォルダ毎まとめて余詰検査をしてくれる。
【詰将棋の解答(T)】にも一応チェックを入れてある。
【余詰設定】は前回のエントリーを参照のこと。
しばらく待つと次のような結果が表示された。
どうも07番に余詰が発見されたようだ。
[PageUp]または「PageDown]でその作品を表示してみると…
作意は26龍だが36龍で余詰のようだ。
3手詰なのに51手の余詰順があるからといって、それがどうなのかという気もするが、現状では伝統詰将棋としては価値0と見なされる。最善詰がいつか見直される日が来るだろうか。
^Eで、配置を変えて【余詰を調べる】を繰り返し、次のメッセージが出たら完成だ。
さて、よくみると余詰は消えたのに余詰順が残っているように見える。
これは以前のファイルのコメントを引き継いでいるようだ。
これを削除するには【編集】→【コメントの一括削除】が簡単だ。
【すべてのコメントを削除】をチェックし、【OK】でスッキリした棋譜ファイルになる。
ということで、また話は戻るが、作った課題は投稿していただきたい。
チョー入門課題
○○飛(成)、同○、○○■まで3手詰
のタイプの3手詰を10局以上作ってください。
- 10局より多くても少なくてもかまいませんが、投稿は一度のみとします。1局ずつバラバラに投稿されますとミスの元になります。
- 投稿は柿木将棋のki2ファイルをメールに添付する形でお願いします。
- 【詰将棋情報】の【作者】に発表用の名前を記入してください。
メールには本名も必ず明記してください。 - 自作に限ります。貴方の名前がついて発表される可能性があることを忘れないでください。未発表作が望ましいです。ただしネットやtwitterで発表した作品はそのメディアと発表年月日を明記して投稿くだされば受け付けます。
- 投稿先はkazemidori+kadai@gmail.com。
タイトルに「飛捨3手詰」と明記してください。 - 締切は2月10日(木)
どうも注意書きが多すぎるな。
投稿の仕方については、また別のエントリーで詳しく説明することにしよう。
集まった作品はまとめて解答募集する予定!オイラの15局もそこに出します。