三代伊藤宗看『将棋無双』第73番 1734.8
有名な「四香追戻詰」。ただし本局には2箇所の読み抜けがあり不詰。
解いてみようという方はそれを踏まえて考えていただくか、後述する駒場和男の補正案の方に挑戦することをお勧めする。
22馬が攻め駒の主力だ。
88銀、同玉、78金、97玉、
87金打、同成香、同金、同玉、
これで舞台は整った。
ここからメインの手順が始まる。
88香、
76玉、77香、
65桂は取られるだけにしか見えないが、実は2手目96玉の変化で働いている。既に役割は終わった駒。
65玉、66香、
香を例えば68香などと離して打つと、67歩、同香、56玉と潜られてしまう。
54玉、55香、
見事に斜めに4枚の香が並んだ。
43玉、44歩、同と、52銀不成、42玉、
43歩、同と、同銀成、同玉、34角、
1枚の角を飛車と交換して、この飛車で追い戻す。
同龍、同銀、同玉、33飛、45玉、
23馬、
実はここで34桂の捨合で逃れる。
馬の利きに香を打っていったので、この香を消すには馬を動かす必要がある。そこら辺の構成に無理があったか?(駒場案を研究されたし)
またここで46玉という変化があり、37飛成で詰む。
この変化のための駒(28金/29桂)を消す収束を楽しみに待たれよ。
55玉、35飛成、66玉、
46龍、77玉、57龍、88玉、
綺麗に4枚の香が現れたかと思うときれいに消えた。
89歩、98玉、99歩、同玉、
33馬、
実はここで77歩合で逃れる。
不詰順が2つも、どちらも宗看が見落とすような難しい順ではなく、正直いって信じられない。
89玉、87龍、79玉、88馬、68玉、
78馬、58玉、59歩、同玉、
あとは平易な収束である。
57龍、49玉、67馬、39玉、
38金、同玉、37龍、29玉、
31手目23馬の前後の変化と紛れは右下辺の配置と絡んでおり、いろいろと試行錯誤する中でエアーポケットのように読み落ちてしまったのだろうか。
それにしても一門で検討するだろうし……謎だ。
56馬、18玉、19歩、同玉、
17龍、18金、46馬、29玉、
美しく捌け、最後は後世に煙詰の収束にも使われる順で詰み上がる。
18龍、同玉、28金、19玉、
38金、18玉、28馬まで75手詰
【駒場和男修正案】
途中の手順が変わるが寧ろ平凡な順なので進めてみれば判るはず。
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