谷口均『孤愁の譜』第31番 近代将棋1980.4
今日の図は易しい小駒図式。11手詰。
作者の谷口均は角を華麗に使うことで解答者を魅了し続ける作家。
本作にはその面影は微塵もないが、50年経っても忘れられない作品だ。
初手はどう考えても33金しかなさそうだ。
33金、12玉、
21玉は13桂不成で3手詰。
12玉に次の手もこれ以外だったら驚く。
24桂、同金、
さて次が13金だったら流石に平凡すぎる。
ここで本局の狙いの一手が登場する。
23金、
先程、打った33金をすっと差し出す。
この手触り。
本局の好手はこの一手だけ。
それも大駒をひっくり返して派手に捨てるのではなく、小駒で表現。
と金ではまた逆にこの味わいはでない。成銀だったらぶち壊しだ。
裏に字が書かれていない「金」という駒だからの風味が漂ってくるのだ。
同金、24桂、同金、
4手目の局面と比べてみれば明らかなように、33金が原型消去されている。
つまりこの作品は邪魔駒テーマの主要な構成である
- 邪魔駒を打つ
- その駒を原型消去する
- 収束
をミニマムに実現しているのだ。
13金、21玉、33桂不成まで11手詰
簡単な形・簡単な手順でも人の心に残る詰将棋はできるんだと教えてくれる名作だ。
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解いてみましたが”易しい”には少しどうだろうか、、と思いましたがいい作品ですね~。23金がねえ~、、なかなか意味が判らないんでうよね。心にしみますねえ。