高木秀次『千早城』に登る(11)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第11番  不明

だんだん手数も長くなってきた。果たして歯が立つだろうか……。

15から24へと逃げられそうに見えるが、よく見ると36桂が24を押さえているので存外玉は狭い。
銀が渋滞しているので44銀と53銀を捌き捨てて53角成という手が見える。
初手は35銀か、それとも18桂、同ととと金の守備を弱めておくのか。
18桂をいれると35銀に15玉で16龍ができなくなってしまうので、初手は35銀でよさそうだ。

35銀、同玉、44銀不成、26玉、35銀、同玉、

変化はあるがどれも詰むことを確認できる。
これで53角成から56龍を活用する方針で攻めてみよう。

53角成、36玉、35金、26玉、25金、同玉、
45龍、

ここで35桂合が効くかと思ったが、同馬、15玉、17龍、16合、26馬、24玉、34銀成……で効果なし。

   24玉、34銀成、同歩、同龍、15玉、
16歩、同玉、17龍まで21手詰

桂が余って詰んでしまった。
手順も銀の邪魔駒消去だけ……これは前菜だろう。これは余詰順だ。

しばらく考えてみたが、経験的に余詰を見つけた後に作意順を発見するのは難しい。
正解を見てしまおう。

35銀、同玉、44銀不成、26玉、35銀、同玉、
34銀成、同歩、53角成、36玉、35金、同歩、
45龍、同玉、54馬、46玉、58桂、同と、
47龍まで19手詰

なるほど、これぞ作意という妙手順だ。
53角成の前に34銀成、同歩という手が入っている。
なので35金に同歩という応手が発生している。
それで龍を捨てる収束に結びつけている。

34銀成でわざわざ35金を同歩と取れるようにお手伝いしているのだからこの手はやりにくい。

その心は……

『千早城』には34銀成を経ずして53角成は36玉、35金、26玉、34金、35桂、同馬、15玉で不詰と書いてある。
このとき、手駒に歩が1枚あれば16歩、同玉、17龍で詰む。

つまり34銀成はこの変化で34金としたときに、同時に歩が入手できるようにするための変化伏線なのだ。

作者は25金を見落としたという訳か。
余詰が無ければ高木秀次らしい重厚な妙手34銀成なのだが。


柿木将棋で検討してみると、上記の7手目53角成以外にも余詰がボロボロ出てきた。
列挙だけしておくと……
初手38桂
3手目55龍(65龍右)
5手目38桂
7手目55龍(65龍右)
9手目55龍(65龍右)

7手目53角成の余詰を消すのは例えば31香とでも置けば消えるが

31香と置いてしまったら作意45龍に逃げる変化が詰まなくなってしまうのをうっかりしていた。こちらも簡単ではなさそうだ。

55龍からの余詰が難しい。
これは45歩合をさせて、この歩を入手することで15玉の逃げ場所をなくす意味がある。
桂合できればいいのだが、桂馬が足りないのだ。

残念だが、今日は午後に約束があるので時間切れ!
巧い修正案できたらコメントください。

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