詰将棋創作チョー入門(25) TumeBaseを使ってみる(3)

この連載は余詰の検討に柿木将棋をツールとして使用していきます。購入方法・インストールの仕方は第1回。基本的な使い方は第2回を参照してください。

TumeBaseとは柿木将棋を購入するとおまけで付いてくる詰将棋用のデータベースです。全詰連が販売していたT-Baseとは違いますので間違えませんように。
第1回はこちら
第2回はこちら
第3回は手順検索をつかってみます。

ktkは前回同様12万局登録されている「赤ん坊.ktk」を使用します。

【表操作】→【手順検索】です。

検索する手順の入力画面がでます。

「銀の連続合」を検索してみます。

50局ヒットしました。まだ重複がありますが、それらの処理は前回に書いたので省略します。

実はこの機能ははじめて使ってみました。
柿木将棋の手順検索は8手以内という制限があるので今まで使ったことはなかったのです。

手順指定の仕方で苦労しました。

上の例では [**銀合 同* **銀合] と入力しました。
**銀合は*に1~9の数字が当てはまることがわかります。
同*の*は飛か龍か角か馬か香が入るのですが、こちらのアスタリスクは全角でないといけないようです。
普通の正規表現とは異なるので何度も失敗しました。
手順と手順の間は半角スペースです。

考えてみたら8手あれば4銀連合が検索できますね。
やってみましょう。

結果は……

おや、完全作は随分少ないのですね。
でももっとあったような気もします。
検索の仕方が間違っているようだったら教えてください。

筆者は手順検索にはT-baseの*.tjnファイルを使っています。
gawkで全tjnファイルを検索します。
こちらは当然ながら正規表現が普通に使えます。
試しに4銀連合を検索してみましょう。

この方法の弱点は先手後手の区別ができないこと。またT-Baseの手順ファイルには「合」はありませんから指定ができないことです。

その結果、4銀連打の作品や銀の翻弄の作品もヒットしてしまいます。
それらを手作業でオミットした結果は……

ほぼ同じ結果ですね。
ということはTUME_BASEの操作は間違っていなかったのでしょう。

もう一つぐらい試してみましょう。

14龍、13桂、24桂、21玉、32銀、同金、
23龍、同金、32金まで9手詰

これは桂香図式の有名手順で「赤ん坊.ktk」で同一図検索をした範囲ではヒットしませんでした。
が、これはT-Baseが詰パラ等しかカバーしていないためで、きっとプロ棋士著の単行本にみつけることができるでしょう。

まぁ、とにかくこの図を得たとして、果たして投稿するに堪えうる作品かどうか、過去の類作をチェックしてみましょう。

[13桂 24桂 21玉 32* 同金 23龍] で検索してみます。

結果がこちら。17作ヒットしました。
手数順にsortしてみました。

手数から並べてみるまでもなく、上図は村山隆治作と同一手順とわかります。

折角ですからヒットした作品を並べてみて、この収束ベスト3を選定してみました。

岡田敏 詰パラ 2006.6

12角は不自然な配置ながら、この角が途中から邪魔駒になる展開が素晴らしい。

松田茂行 朝日新聞 1957年頃 改

松田八段の作品がこの頃の詰パラに載っているということは「ご愛敬ルーム」(プロ棋士出題の作品の余詰指摘をするコーナー)。しかし、好形で手順も良いので風みどりが仮に修正しました。原図では5手目21とと13手目32桂成の余詰がありました。

以上です。
新作が本当に新作といえるかどうかチェックするには、同一図検索だけでなく、手順検索が必須だということがお解りかと思います。

ん?ベスト3といいながらなぜ2作しか紹介しないのかって?
3作目は詰将棋つくってみた課題21桂香図式で出題中です。探してみてください。

※TumeBaseについてはこれでお仕舞い。うまい活用法などあれば教えてください。EOGさん書いてください。

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