小西逸生『将棋紫雲英図式』第96番 詰パラ1974.4
スッキリ貧乏図式で合駒の読みを楽しもう。
初手は31角成もあることはあるがまず間違いないのが……
11飛、
12間駒を考えるのは後回しにして少し先まで考える。
12合、同飛成、同玉、32飛、
この間駒も揮発性。
すぐに消えて攻方の持駒になる駒だ。
22合、同飛成、同玉、33歩成、11玉、
この辺で合駒は何かを考えてみよう。
まずわかるのは☗に1枚でも金があったら簡単ということ。
もう少し考えると銀や角があっても簡単ということだ。
この形の狙い筋といえば13玉の形にして31角成、12玉、22馬まで。
つまり☗は桂か香しかないということだ。
(厳密には2枚目は飛車もありえるが)
さて、ここまで先読みしておいて、1枚目から考え直そう。
(11飛)、12桂、
桂香の二択とわかれば間駒読みも楽になる。
同飛成、同玉、24桂打、
これでまだ飛車が手駒に残っているので、同歩、同桂でも、単に逃げても飛車を打って追えば詰む。
これで2手目は確定した。
12香、
これは取るしかない。
同飛成、同玉、32飛、
と、好調かと見えたがいきなり頓挫する。
この時点の持駒が香だとわかったので、22間駒に飛車はないとわかる。
先の図で11玉に11香、同玉、32飛で簡単だから。
しかし22の間駒が香でも桂でも……
22合、同飛成、同玉、33歩成、21玉、
このとき、持駒が「香香」でも「桂香」でも全然詰まない。
33歩成でなく33角成でも同じだ。
どうも、この局面で23香と打てるようにしておくことが必要のようだ。
24桂、同歩としておけばよい。
しかし7手目に24桂としてみても
(32飛、22合に)24桂、
同歩なら目的達成だが……
13玉、22飛成、同玉、33角成、13玉、
2枚目の間駒が桂馬なら25桂までだが、香だったらこれは詰まない局面だ。
ということは24桂はもっと早めに済ませておく必要がある。
(12飛成、同玉に)24桂、
ここなら手駒に飛車がいるので同歩の一手だ。
同歩、32飛、
これなら21玉の逃げがないので片付きそうだ。
22合、同飛成、同玉、33歩成、11玉、
13香、
ここで12に間駒のとき、22合は桂馬ではないことになる。
なぜなら23桂、21玉、31角成までだからだ。
逆にいえば22桂合だったら13香、21玉で次の図になり、☗=桂だ。
22香合だった場合はここで12間駒になる。
12合、同香成、13香、21玉、
22桂合だったらこの局面は14手目。
したがって22は香合だと判明した。
そして12の間駒が香だったら1手詰なので、☗=桂だ。
あとは収束。
31角成、
大駒はすべて綺麗に消える。
同玉、23桂、21玉、11香成まで23手詰
4手目のまだまだ序盤と思われる局面で、颯爽と跳ねる24桂が美しい作品だった。
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旧版『中編名作選』の補遺に収録されていたと記憶。
清貧図式から、三度の合駒が出る軽快な作品。
合駒の選択が適度な難易度で嫌味がなく、手順の流れも心地良い。合駒作品はこうありたいという見本のような図。