詰将棋入門(238) 久留島喜内[1]

久留島喜内 『将棋妙案』第1番

三代伊藤宗看・伊藤看寿の『将棋無双』『将棋図巧』は門脇版『詰むや詰まざるや』のお陰で全貌を知ることができる。同じ時代の久留島喜内の作品は『将棋妙案』『橘仙貼璧』という作品集の名前は知っていてもその内容はなかなか知ることができなかった。
マイナビの『図式全集 将棋妙案 橘仙貼壁』の発行は非常にありがたい。

この1番は初心向けの11手詰。

打歩詰の局面だ。

81角成、同玉、72金、91玉、

まだ打歩詰の形である。

82金、同銀、92歩、81玉、

これで91はシャットアウトして81に玉を誘き寄せることに成功した。

93桂、同銀、73桂まで11手詰

9手目は73桂から先に打っても良い。
打順非限定。
現代では余詰扱いされるだろうが、当時は問題にはならなかったのだろう。
「桂を2枚打って詰む」のだからどっちから先に打ったっておンなじじゃねぇか。

さて本局を紹介したのは第1番だからではない。
邪魔駒消去の手筋について調べていて「邪魔駒を一旦別の駒に置き換えてそれから消す」という演出が発明されたのは昭和に入ってからだと思っていたのだが、なんとこの作品もそのナラティブをもっていることに気づいたからだ。

初形で72角が邪魔駒である。

なければ92歩、81玉、72金で詰みだ。
ところがこの角を原型消去することはできない。

まず72角を72金に置き換えて、その金を82に捨てることで結果的に72角を消しているのである。
(さらに93桂同銀で原型に復帰させている)


さて今回はあまりにも易しかったので第2番を宿題にしておこう。
明日解答だけうpします。

久留島喜内 『将棋妙案』第2番

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