詰棋書紹介(52) 詰将棋三十年


詰将棋三十年 柴田昭彦 全詰連 1980.8.5

今だったら『詰将棋七十年』なんだな……。

柴田氏とは直接の面識はほとんどない。
大阪で開催された詰将棋全国大会で数回お目にかかったことがあるくらいである。
その際も、美人演歌歌手の話しかしなかった。

しかし、人柄は文章と作品で(おそらく)わかる。
私は正直言って、大好きである。

私が詰将棋を始めてから今年で足かけ三十年になるので、「探偵小説四十年」を真似て、「詰将棋三十年」としたわけである。多磨霊園に眠っている乱歩から”類似作”の指摘を受けそうだが、ファンなので許してくれるだろう。

作品集の形式は、「春霞」方式を理想としているので、森田正司氏のご諒解を得て同一形式にした。

その内で一番気に入ったのが本作でもしかしたら半期賞を取れるのではないかと密かに期待していたわけだが、予想通りに受賞できて感激したものである。

作品は私には難しく、全然解けなかった記憶がある。
ところが今と見ると、結構解けるものもあるようだ。
(あ、これって答を覚えているだけかもしれないな……)

最近の私の好みで選ぶとしたらこれだな。トボトボとした龍の動き。
本作の作者の言葉にも71銀の配置は森田氏の助言で感謝していると書いている。
ホント、正直な人だ。

柴田昭彦 『詰将棋三十年』第88番 近代将棋1978.11

「詰棋書紹介(52) 詰将棋三十年」への1件のフィードバック

  1. 上手いものですねぇ。妙手らしい妙手もほとんどないのに、22龍32桂合、33龍のコンビネーション一つで、龍の動きすべてに、えもいわれぬ味わいを出してしまった。

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