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[懸賞出題] 2手逆算してみよう

詰将棋雑談(85)で次のように書きました。

C図が優秀だからこそ、たくさんの類題が生まれてくる。しかし当然ながらそれらが正しく改良されたとしたならば、C図はそれらの類作群の中でもっとも貧相な作品になるということだ。
これはなんという矛盾だろう。まさにこれが先駆者の苦労だと思うのだ。

創作経験のある方ならこの文章で理解いただけるだろうが、一般にはこれでは分りにくいかもしれない。そこで出題の形で実証実験をしてみようと思います。
素材はこちら。

金田秀信 詰棋界1953.7

25銀打、同桂、23銀不成、同飛、26桂、24玉、34金
まで7手詰

キリッとした7手詰です。
必要駒だった34銀が途中から邪魔駒になって自爆する展開が楽しいですね。

しかしこの図を見ていると、いくつか改良したくなる点がみえます。

一つ目は3手収束。
7手詰なのに3手収束は残念です。
5手目の26桂を捨駒にすることはできないでしょうか。

課題1:26桂を捨駒にしてください。

上下左右などの平行移動は自由ですので「26桂」でなくてもOKです。
要は5手目の桂打ちを6手目で同☖としてくださいということです。

また別の方向の改良案も考えられます。
詰将棋はやはり大駒をズバッと贅沢に捨ててしまうのが魅力です。
この図では小駒の捨駒ばかりなのでやはり地味な印象は逃れません。

2手逆算して大駒捨てを入れてみたくなります。

課題2:大駒捨てを入れて9手詰にしてください。

創作初心者の方は課題1、課題2をそれぞれ別々に実現してください。
中級者以上の方は2つの課題を同時に実現させてください。

  • 締切:10月13日(木)
  • 解答送り先:kazemidori+fes@gmail.com
  • 賞品:1名様に『金田秀信の詰将棋』(発送は完成後になります)、2名様に粗品進呈。

詰将棋雑談(84) 先駆者と後発者

後発作家の悲哀

某氏の帽子 詰パラ1995.5

味の良い初手。39間駒の変化に対処した不成での角の最遠移動そしてスイッチバック。目的は28桂の邪魔駒消去で最短の収束。その桂馬も2手目37玉の変化で働いており完璧な短編だ。

しかし結果発表で次の先行作があることを指摘される。

河内繁夫 将棋世界1969.12

新鮮な不成作品を追求した作家、浮寝鳥の(本名で発表された)作品だ。
この作品は短編名作選にも選ばれていたので筆者は知っていた。しかし某氏の帽子氏は筆者より約10年若い作家。まったく知らずに上記の作品を創作し、発表したのだった。

自作集で次のように書いている。

チェスプロブレムの用語を拝借すると「不成の角によるスイッチバック」ということになろうか。変化では邪魔駒の桂も働いているので悪くないと思っていたが、発表時に類作指摘を受けた。こういうのは如何ともし難く、後発の悲哀を感じるよりない。

この文章を読んで共感を覚えた方も多いだろう。

昨日だって今日だっているはずだ。
苦心惨憺して仕上げた作品を発表したら、ベテラン解答者から「先行作あり」と指摘されて涙を呑んだ新人作家が。

先日も「伊藤看寿の時代だったら、未開の地があちこちにあって羨ましいな」といった趣旨の発言を読んだ。筆者もフェアリーに進む方は未開の荒野を開拓するのが楽しくてしかたない方達なのだろうと想像していたこともある。
自らの力で領土を切り取り増やすことが倫理的にも許されていた時代を羨ましいと思う権力者は今でもいるに違いない。(アノ国にもコノ国にも)

だが最近、あれ?と思うことが増えてきた。
先駆者と後発者って普通は先駆者の方が苦労するんじゃないのか?
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