著者の清水一男氏は詰パラの中学校の担当のイメージが強い。
作品は短編中心で、7手から長くても15手ぐらいが多い。
解くのにお手頃なのは間違いないのだが、1手不思議に難しい手が入っている。
自説を曲げない根性、これが作家の生命かもしれない。簡単に妥協する体質は類似作や月並作に通じてしまう。紛れもなく自分が作ったという満足感。これです、作者の喜びは!
最初、書名に違和感を感じた。エトワールを花形スター・第一人者と読んだからだ。
詰棋人の中にはそのような自己主張をされる方も少なからずいらっしゃるが、清水さんはそういうタイプの方だは思っていなかった。
前書きを読むと、このエトワールは「星」と直訳するのが良いらしい。奥方とみた1983年の伊良湖岬での星空について語られている。
解説を担当しているのが、珍しいことに柳原裕司氏だ。
この頃はまだ文章を書くのが苦ではなかったのかな。
金の使い方に定評がある作家。
筆者は歩と桂馬の使い方にも拘りを感じるのだが。
ここは、金が主役の作品2局を選んだ。
清水一男 『詰将棋エトワール』第21番 詰パラ1964.10
清水一男 『詰将棋エトワール』第63番 詰パラ1983.3
清水一男 『詰将棋エトワール』第63番 詰パラ1983.3
追記(2020.12.13)
Tweet解説は全て私が書いたことになっているが、実は森田正司さんの代筆がかなりある。清水さんはどういうわけか解説は柳原しか考えていない、と言った。死期が近いことを聞かされ急ピッチで進めたが、とても全作品まで手が回らず森田さんに助けてもらった。清水さんは見抜いていたのだろうか……。 https://t.co/ezToY0BSXi
— 詰将棋ファン (@misimakeita) December 13, 2020