詰将棋入門(208) 銀は引く手に好手あり

水上仁 将棋ジャーナル1988.12

現:詰将棋パラダイスCEOの作品。軽い合駒読みの問題。15手詰。

23桂、22玉、44馬、33合、13銀成まで簡単に詰んでそうに見える。
しかし、

23桂、22玉、44馬、33歩、

【失敗図】

歩の移動合で32への退路を開けられては失敗だ。
そこで先に44馬と覗くのが正解。

44馬、

さてこの局面の合駒読みが本局のメインだ。
33への間駒は今度は移動合できないので23桂~13銀成まで。
22に間駒することになる。
22金の移動合は23銀成~22成銀で簡単なので打合いだ。

まずは歩合から考える。

   22歩、23桂、12玉、13銀成まで

【変化図】

33合と同じだ。
ということは香・桂・飛も同様に駄目。
13に利きのある角・金・銀に絞られた。

簡単そうな金合からいこう。

   22金打、23銀成、12歩、22成銀、同金、
23桂、

【変化図】

金は開き王手からその金を入手して23桂で詰む。
このときの持駒が角・銀では21玉で詰まない。

次に角合を考えよう。

   22角、

ここからがコクのあるところだ。
今まで13銀成とか23銀成とか銀は前に進むことばかり考えてきた。
ところが角合はそれでは詰まない。
指されてみれば簡単なのだが、この手に直ぐ気づくか・なかなか気づかなかったかで本作の評価は大きく分かれることだろう。

25銀、

23桂の余地を残すために、25銀と玉から遠ざかる。
12間駒は23桂の1手詰だ。

   12金、同龍、同玉、23金、

逃げ道を空ける12金の移動合しかない。
これを切って23金が気持ちよい手。

   同玉、34馬、13玉、24銀、14玉、26桂まで

【変化図】

さてこれで堀はすべて埋め終わった。
いよいよ本丸の銀合だ。

   22銀、

角合のときと同様に攻める。

25銀、12金、

今度は同龍では同玉に23金を同銀と取られるので失敗する。かといって24桂では21玉と下がられて詰まない。

23桂、21玉、

23桂を置いて力を溜める。
しかしここでも龍を切ると……

12龍、同玉、11金、13玉、

【失敗図】

35馬としたいが43桂が利いている。
11金に代えて22馬、同玉、31銀と攻めても23玉、24金、12玉で駒不足だ。

22馬、

龍を切る前に馬を先に切るのが正解。

   同玉、31銀、21玉、12龍、

31銀と打ち、23桂を残したままにしておいて最後に龍を切る。

   同玉、11桂成、同玉、22金まで15手詰

水上仁は実は一流の詰将棋作家。綺麗な形から合駒読みを楽しませる作品から桂香図式、長編と実に色々な分野で鋭いセンスを見せてくれる。最近は短期段位判定ぐらいにしか作品を出さないのが残念だ。

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