詰将棋入門(219) 寄り道する金

清水一男 詰パラ 1985.4

九手詰。

26の地点は攻方の勢力が過剰。
17から入玉する逃げ道が見えている。
大体そういう所に置いてある18角は邪魔駒としたものだ。
18飛と逃げ道を封鎖する手段をなくしている。

27角、同香成、18飛、

そこで27角と捨てていくのはまずやってみる手だ。
初手から26金と駒を喰っていくのはありえない。
同馬では26地点の勢力差はひっくり返らないので26金でよい。
同香成と守備駒が増えるが、初志貫徹で18飛とここを封鎖する。

   同成香、

さてここまでが序奏だろう。
次の一手がおそらくは本局の出発点。

25金、

26金とすれば紐がついているから玉は取ることができない。
それなのに敢えて26金というのが狙いだ。

   56馬、26金、17玉、27金まで9手詰

26金は果たして妙手か否か。
いや面白いと感じるか感じないかということだから、どれだけ多くの人の共感を呼ぶかどうかということだ。

もちろん誰も面白いと思わず、それでも作家は面白いと思うものを作り続けて、その作家の死後にやっと作品が評価されるということもある。(詰将棋ではいざ知らず、絵画の世界などでは)

筆者は本作は知らなかったが、チェスプロブレムで「テンポ」というテーマを知り、それに近いことはできないかと同じような狙いの作品を連作したことがある。
   ⇒いっこの積木 第13番第16番第19番

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