高木秀次『千早城』に登る(29.1)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第29番の想像図

作意から推測した図です。23歩や67歩は余詰防ぎのために風みどりが追加した駒。安易だ……。

さて普通に攻めると次の局面で行き詰まる。

86歩に同角では詰まない。
(実際には同龍で詰んでしまうので23歩を配置した)

ここは角でなく馬で攻めないと86歩の捨合がとんでくる。
つまり77角ではなく68角成と攻める必要があるとわかる。

しかし68角成は同桂成で無意味。

そこで76桂を88龍、同桂成と動かしておくことが発想できたら本局の解明に一歩近づいたといえる。
88龍と捨てるためには—88角を前もって捨てておかねばならない。
タイミングは68玉の時だ。

そこで7手目に戻る。

44角、

そして82玉としたタイミングで……

88龍、

同成香だと81飛成、93玉、92と、94玉、95歩、同玉、68角成、94玉、95馬、同玉、96歩、

これでピッタリ詰むので88龍には同桂成と決まる。

だがしかし、これで解決したと安心してはならない。
高木秀次は二枚腰なのだ。

念願の68角成を実現しても、その先で行き詰まってしまう。

この打歩詰がなかなか解けない。
95馬、同玉、86龍としてもやはり95歩が打歩詰!

この打歩詰を打開する手段が見えるだろうか。

この打歩を解消するために92とを消去したい。
しかし単に消去したのでは不詰になってしまう。
92とを74桂に置き換えておくというのが作者の構想。
74桂といっても74には歩があるじゃないか。

そう。従って74歩も前もって捨てておく必要があるのだった。
72玉のタイミングまで戻る。

以下同様に進めて次図。

次の手がどちらの桂でもよいのが本局の弱点だ。

86桂、95玉、74桂、94玉、

さきに74桂を出現させておき、92とを消しにかかる。

92と、同玉、82龍、94玉、95馬、同玉、
86龍、94玉、95歩、93玉、82龍まで39手詰

素晴らしい作品と思う。
どなたか名修正図を考えてください。

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