マイナビ出版には「完全版看寿賞作品集」など物凄くありがたい仕事をしてくれていると感謝している。 しかし、この間いくつかガッカリさせられることがたてつづけにあった。 そこで要望を書き出してみた。(読んでいただけるかは分からないが)
1. 詰将棋解答選手権初級・一般戦の作者名誤植について
twitterで誤植情報が流された。
詳解 詰将棋解答選手権 初級・一般戦2009-2019
詳解 詰将棋解答選手権 チャンピオン戦2004-2019
で誤植がありました。
読者の皆様に深くお詫びし、訂正いたします。 pic.twitter.com/9eKh1f74fw— 将棋情報局編集部 (@mynavi_shogi) March 3, 2020
この重大な見落とし、まことに申し訳ありません。作者と読者の方々に深くお詫びいたします。
— Problem Paradise (@propara) May 29, 2020
なんと2カ所も作者名を間違えている。 普通に考えてこれは編集部の大失態だ。 人の仕事だから、誤植はあるものだ。誤植を皆無にしろといっているわけではない。
でも、人の名前は学級通信だって絶対に間違えないように何度も見直すところだよ。 コピペで原稿作って訂正し忘れたのが見え見えの杜撰な仕事だと思わざるを得ない。
(註:出版に詳しくない方に誤解を与えないように書いておきますが、私は著者の若島正氏を責めているのではありません。これはいろいろな意味で99%編集者の責任です。1%は編集部のいい加減な仕事を信じてしまった若島氏の責任。)
編集部のtweetでは「読者の皆様」にしかお詫びしていないが、当然作者や著者にもお詫びはしているはずだ。 なので、要望としては今後は作者名の誤植は根絶するよう努力していただきたいということ。
2. 「夢の華」プレミアムブックス
お薦めの詰棋書ベスト10で皆さんに勧めたので「夢の華」は持っているのだがプレミアムブックス版も購入した。
そして、その印刷品質の悪さに驚いた。
必ず買えと薦めた責任を取ってプレミアムブックス版を購入した。装丁や紙質はまぁ文句なし。ただこれ写真製版でしかも粗い。これには正直な所がっかりだ。マイコミとマイナビは違う会社なのか?綺麗なのは奥付だけ。悲しいとしか言いようがない。説明が欲しい。詐欺に近いと思う。 pic.twitter.com/X4aioam66T
— 食べられる大人の風みどり⛅ (@kazemidori) June 3, 2020
確認しに行ったら書籍版の販売は終わったのかな?pdfしか選択肢がなかった。
よく読んだら『未完になった第100番の「夢の華」まで』って何だこれ。— 食べられる大人の風みどり⛅ (@kazemidori) June 3, 2020
この本については「説明が欲しい」と書いたとおり、何故こういうことになっているのか想像がつかない。
- 同じ出版社なのだから元のデータを持っているはず。
- それなのにわざわざ写真製版とは余計手間なのでは?
- しかも今の技術ならもっと綺麗にできるはず。
- それに誤植や余詰の修正がなされている。
そう、tweetした時点では本を開いていきなり感じる違和感に驚いただけだったのだが、丁寧に中身を読んでいくと、誤植の修正や発行後に余詰が発見された図の作者による修正図への差し替えがなされているのだ。
つまり宣伝文句の「内容は元版から変更されていません」は嘘で、ちゃんと第2刷としてもよいだけの仕事がなされている。
裏で一体何が起こっているのか???
少なくともこの宣伝文句を書いた人はちゃんとこの本を読んでいないよね。
妄想すると、こんなストーリーか。
ちゃんと元データを修正して第2刷として再版を準備していた編集者がいた。ところが何らかの事情でその編集者が離脱。後を引き継いだ編集者が版下を作る際に失敗して品質の悪いpdfを委託業者に渡した。さらに中身も読まずに宣伝文句を書いた。(誰か答合わせをお願いします)
要望としては、出版社として恥ずかしくない印刷品質の本を出してくださいということです。そして、修正図を掲載していること宣伝して売れば良いのに。
3. おまけの棋譜データ
予約特典だったか、棋譜データをダウンロードできるサービスがある。
サービスなんだから文句つけるなといわれるかもしれないが、これでも読者の端くれだからあのデータを受け取って読者がどんなキモチになるかを伝えるのはむしろ感謝されるかもしれない(されないかもしれない)。
ファイル名が001.kif、002.kif……というのはまだよい。自分でリネームすれば良いだけの話だ。
しかし、入っているのが図面と手順だけなのだ。
「無双」も「解答選手権」も、今日届いた「図巧」もそうだった。
担当者が詰将棋を知らない?
でも、将棋は知っているだろう。(知らない……と入力できないよね)
将棋の対局データで、初形と手順だけだったら……手抜きだと思うだろう。
先手が誰で後手が誰で何の対局かのデータは必須ではないのだろうか。
そして手順しか入力されていなかったら……つまり、どちらが勝ちかが入力されていなかったら締まりがつかないだろう。最終手を指した方が勝ちと想像しろというのか?二歩を打っちゃった場合だってあるでしょう。
詰将棋では対局者名は作者名にあたる。これが入力されていない。
何の対局かは出典データにあたる。「無双何番」とか「何年の詰将棋解答選手権チャンピオン戦の何番」だとかが入力されていない。
詰将棋の場合、勝敗は「詰み」にあたる。これが入力されていない。
要望は以下だ。これは今からでも直して差し替えていただきたい。スクリプトをちょこっと書けば、すぐに対応できるはずだ。
- 棋譜データには作者名を入力していただきたい。
- 棋譜データには出典も入力していただきたい。
- 棋譜データには「詰み」も入力していただきたい。
4. 「無双」「図巧」の著者名
「図巧」の方は本日入手したばかりだが、共通して疑問に思うことがある。
作者は誰?
表紙にも箱にも扉にも奥付にも「解説 谷川浩司」と記されているだけで、詰将棋の作者名は見当たらないのだ。
え、そんなの常識だから書くまでもない?
本当にそうなんですか???
さがしてみると「無双」は前書きの中に「七世名人・伊藤宗看」と出てくる。(普通は三代伊藤宗看だが、十七世名人が書く文章だからこうなるだろう)
三代宗看という表現は巻末の角建逸による解題にやっとでてくるのみである。
「図巧」も同様である。
前書きの中に「伊藤看寿贈名人」という名前が出てくるだけで、後はやはり巻末の角建逸による解題の中だけだ。
(ちなみに「無双」の前書きは谷川浩司と署名があるが、「図巧」の前書きは誰が書いたのかもわからない。)
前書きや解題を読まないと作者名が分からない詰将棋作品集とは前代未聞だ。
それともうひとつ。
これはマイナビ出版にかぎらず将棋本出版の謎の慣習なのかもしれないが……。
問題によって図面・作意・変化・解説という場合と図面・作意・変化・谷川浩司の視点という場合がある。
普通に解釈すると、谷川浩司名人が執筆したのが「谷川浩司の視点」なのだろう。
だったら、変化や解説を書いたの誰なのだろう。
そして多数の途中図を作成したのは誰?
「無双」の前書きや目次に「構成 野間俊克」とあるので、おそらくこの方がこの書籍を完成させるのに最も苦労した方なのだろう。ところが、その名前も表紙にも箱にも扉にも奥付にもない。(目次にあるだけ、宗看・看寿よりまし?)
誤解のないようにいっておくが、谷川名人が仕事していないといっているわけではない。
谷川名人のことだから誠実な仕事をしているに決まっている。
谷川名人は「無双」の前書きではこう書いている。
本書では、原稿を執筆した野間俊克氏の尽力により、図面も出来るだけ多く使い、初心者の方にもわかりやすい内容となった。また、詰将棋ファンの方にも新たな発見があるように、私なりの解説を加えたつもりである。
メインの原稿を執筆したのは野間俊克氏で、自分はそこに解説を加えたと書いている。
「名作詰将棋」の二上九段の前書き同様、谷川名人の人柄が伝わってきて嬉しくなる文章だ。
宣伝をするのに谷川浩司名人を前面に押し出すのはかまわない。
が、野間俊克氏の名前も表紙にも奥付にも明記するべきではなかろうか。
マイナビ出版への要望は次のようになる。
詰将棋作品集なのだから、三代伊藤宗看、伊藤看寿の名前はしっかり明記していただきたい。
実際の著作者名もしっかり明記していただきたい。
オマケ:「寿」ではがすと金の数は3枚では?
オマケのオマケ:
当選しました。
ありがとうございます。
(あぁ、こんな文句たれに当てなければ良かったと思われたかなぁ)