詰将棋入門(61) 打歩打開と持駒変換と

平田好孝 詰パラ1954.11

あまり名前を聞かない作家だが作品を並べてみたら、もう少し長く続けていたらきっとビッグネームになったのではないかという印象を受けた。


36銀は26玉で打歩詰


ここで27歩の取歩駒は77龍に違いない。
とすると2枚の角と香を動かすことを考えれば良さそうだ。

初手に戻って
26歩、同玉、27歩、同玉、49角、


近い方の角から捌こうと考えると48角に37桂、同角、27玉ぐらいで失敗。
遠い方の角から捌く。

同香成、36銀、26玉、35角、


48角と捌こうとすると37桂合でも同成香でもうまくいかないようだ。

同歩、27歩、同龍、


さてこの飛車を取るかが次の課題。
すぐに27銀と取ると、同玉でも25玉でも失敗か。

35銀、25玉、26歩、同龍、


そこで、歩も補充しつつ26の場所で飛車を取る。
さらにもう1歩使って25で取ることができたら良さそうだが、その場合は25同銀とした際に同玉ではなく23玉と逃げられる。24銀と追っても12玉、13銀成、同桂で遁走されるわけだ。

さて次の手は36飛か27歩か23飛か。

同銀、同玉、23飛、25桂、


持駒が歩だけでは上部に追っていっても手がない。
歩以外の持駒を入手する必要があるのだ。

27歩、同玉、25飛成、26飛、


16龍があるから飛合になる。(金合は切って3手詰)
ここまで来れば25には桂合以外は簡単だと言うことが分かる。
さて次の課題はこの手順は繰り返せるが、何回繰り返すのが正解かということだ。

同龍、同玉、27歩、


正解は1回だけで終わりにする。(もう1回ぐらい繰り返した方が面白かったと思うのだが)

同玉、37飛、26玉、27歩、25玉、35飛、24玉、16桂、


歩を桂馬に換えておいた効果が表れた。

23玉、25飛、12玉、21飛成、


飛車を切り飛ばし、桂馬を入手。

同玉、32歩成、11玉、23桂、12玉、24桂、


あとはと金で再度ひっぱり出して幕となる。

23玉、33と、24玉、34と、25玉、35と まで51手詰

2つばかり27手目について検証しておく。

  • 27手目27歩に替えて23飛だとどうなるのか。

23飛、25桂、27歩、同玉、25飛成、26飛、同龍、同玉、
36飛、25玉、35飛、26玉、27歩、同玉、37飛、26玉、

桂馬は2枚になるが27に打ちたい歩が足りなくなる。
持駒の歩3枚は「桂歩2」、「桂2歩」、「桂3」のいずれにも変換が可能だが、1枚だけ桂馬に変換するのが正解と云うことだ。

  • 27手目は27歩が正解だが、実は36飛も成立する。

36飛、25玉、35飛、26玉、27歩、同玉、37飛、26玉、
27歩、25玉、35飛、24玉、16桂、
で35手目の図に合流することになる、つまりは4手の迂回手順ということだ。

「詰将棋入門(61) 打歩打開と持駒変換と」への1件のフィードバック

  1. 印象に残っている文章ーー
     若くして顕れる詰将棋の才能は、何かしら絶対的なものである。それは硬質さによって目立ち、凡庸との隔絶した差違を認識させる。昔から知っていたこの一事を、私は今回「古雑誌」によって確認した。昭和二十年代の奥薗幸雄、山田修司、北原義治といった人たち、昭和三十年ごろ彗星のように現れて消えた平田好孝少年などの作品は、初めから「別物」であった。第二期の私に目を見張らせたことを一つ加えるなら、若島正、上田吉一という二本の栴檀は、双葉よりして絶対的に芳しかった。(巨椋鴻之介『禁じられた遊び』まえがき)

    併記されている錚々たる面々からして、平田氏(倉敷市の人)は相当高く評価されていたようです。

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