詰将棋雑談(22) 「扇詰」と「新扇詰」別案

「新扇詰」で次のように書いた。 【13週目start】

香を桂に換えた。 これで桂馬を入手したからもう1周した後38桂で終わりだろうと誰もが思うだろう。 すでに看寿の611手は更新している。 ところが奥薗幸雄の凄いところは、ここで満足せず、さらに工夫を重ねていることだ。

これは勿論嘘ではないが、作者目線で見ると「工夫をせざるを得ない事情がある」となる。

手余りの禁止というルールの存在だ。

単純な話をすると、38桂で終われるのならば、57玉、55龍、56合、58香まで。
持駒の香2枚が余ってしまう。

それでは詰将棋として発表できない。
ここまで38桂を打てるように目指してきたのに、最後は38桂ではダメで、持駒の香2枚を費消する収束を作らなければいけないのだ。

長手数を目指して創作し2段階の持駒変換という技術革新を成し遂げても、詰将棋として完成させるには「駒の余らない収束」という難関が残っているわけだ。

「新扇詰」には余詰だった「扇詰」と、風ぐるまに発表された別案の「新扇詰」がある(これも余詰)。
この2局の収束部分を見てみよう。

「新扇詰」の27桂,17成銀の絶妙の配置に至る奥薗幸雄の苦労の跡が辿れるかもしれない。

奥薗幸雄 「扇詰」 近代将棋1953.1


28,38,39のと金をすべてはがしてさらに持駒を「桂香香」にしたところ。
(27とが19馬,28歩,同馬,同とと動く)


1周回って,27桂と打つ。


同桂成とさせ,その桂を入手。


そして27桂で収束に進む。


すなわち58龍に66玉と逃げる。


つまり38桂で消去したかったのは28とだった訳だ。
38桂では収束に入れず,27桂に逃げることで収束に入るという仕組みだ。
するとそれまでの38桂には56玉の変化が生じているわけだ。
玉方のと金が27,39にいる場合は38桂に逃げて詰み。
消去した後に38桂では不詰にしなければならない。
この変化と紛れの切り分けは持駒の香が1枚か2枚かでなされている。

本局は最初の図より58龍,46玉,47香,35玉,55龍以下の早詰だった。

さて,次はおそらく「新扇詰」の別案として,風ぐるまに発表された図。

奥薗幸雄 「新扇詰」 風ぐるま1955.3

28と,39とをはがして,さらに持駒を「桂香香」としたところ。


1周回って27桂で17とをはがす。


歩を入手。


歩を香に替えて


39香。


手なりで桂も入手。


48龍に捨合し,


38桂,同ととしておいて
47龍,35玉,36龍……


38とを食って1歩入手し,

1周して46玉に,36龍,57玉,58歩,同玉,69金,49玉,39金までという作意。

ただ,これどうも変だ。

  • 752手目47歩と捨合する意味が分からない。
    35玉,39龍,26玉で不詰にみえる。
  • 757手目なぜ38龍でなく36龍なのかわからない。
    38龍とと金を取れば1周短く歩余りで詰むと思うのだが。

T-Baseも『詰むや詰まざるや参考図集』も同じ作意なので,これが原作意だと思うのだがちょっと並べただけで気づく問題点を作者も解答者もスルーするとは考えにくい。

ま,いずれにせよ本局には316手目(85玉,97龍の形)から
96角,84玉,74銀成,94玉,69角以下345手の早詰がある。

だから早詰作か,早詰不詰作かという違うだけなのだが。

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