高木秀次『千早城』に登る(22)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第22番 詰棋界1953.1改

駒が密集していて難しそうに見えたが、意外や意外今までで一番簡単だったかもしれない。

とりあえず駒を動かして感触を確かめる。

最初に考えたのは桂馬で歩を取る33桂成。(我ながら筋が悪いね)

33桂成、

   同玉、34銀打、同と、同銀、44玉、
45歩、53玉、43金、54玉、

【失敗図?】

これで打歩詰。43金が打った途端に邪魔駒になっている。これがなければ32角成で詰み。
なんとか巧い順があるのだろうか。

そこでここまでの変化を調べてみる。
初手からの数手が酷いが、このまま考えていいかどうかの手応えを探ろうということ。

33桂成、54玉、

【失敗図】

2手目逃げてみたらどうなるのか。
なんと53玉で全然届きそうにない。

初形に戻って……次に考えたのは54桂が邪魔駒臭いということ。
どういうことかというと先の順では92角が65飛に紐をつけている役割しか果たしていない。
この2枚の配置から予想できる手順は63飛成、同龍、65角成、同龍、53金という筋。
そこで65角成を王手にするには54桂が邪魔なのだ。
54桂をどう消すか。

42桂成、同金、

【失敗図】

直接42桂成では同金で守備が益々強くなりダメそうだ。

やはり詰将棋なのだから……

32銀、54玉、43銀不成、

銀1枚を使って間接消去が筋ではないか。
と、これ同龍でも同とでも金打ちで一発。同玉の一手だ。
この変化は手応えを感じる。
でも52歩がいるよ。65角成、同龍、のあと53金とできない。

そうか大駒2連捨てではなく3連捨てを考えているのか。
32角成。
そのためには33歩を動かしておかなけりゃいけない。

これでやっと初手が解った。

34銀、

同とは32銀から55金だ。

   同歩、32銀、54玉、43銀不成、同玉、

これでクライマックスの準備完了。

63飛成、

   同龍、65角成、

   同龍、32角成、

   同玉、33金、

これで鍋に入った感じだ。
まだ歩が1枚残っている。

31玉と21玉があるが……簡単に詰みそうな方から。

   21玉、11歩成、同玉、12歩、

【変化図】

とれば23銀とかぶせて押し潰せる。
21玉でも32銀、12玉、23銀成で同じこと。

ということは33金には31玉だ。

   31玉、23桂不成、同歩、31歩、21玉、
11歩成、

なんとなく24香の質駒が見えてきた。あ、23歩もか。

   同玉、22銀、12玉、23金、同玉、
33桂成、12玉、24桂、同銀、21銀不成、11玉、
12歩、21玉、23香、12玉、22香成まで35手詰

33歩を移動しておく伏線、54桂の邪魔駒消去。そして大駒3連捨てというこの作者にしては軽い作品だったのであっさり解決した。たまにはこういうのも無くては困る。

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