高木秀次『千早城』に登る(30)


※この連載は風みどりが1題ずつ高木秀次作品集『千早城』(1993)を読んでいくものです。

第30番 風ぐるま 1953.4改

 第1部も\(\frac23\)に到達した。第1部は手数順なので本作40手を超す。
 しかし、非力な筆者でもすぐに解けた。皆さんも挑戦することをお勧めします。

 みるからに44桂が邪魔駒の顔をしている。
「オイラを消して44金、同玉、53銀生を狙うべし」
 飛車か金か迷うがまずは金からいくだろう。

53金打、

   44玉、54金、同玉、44金、

 同玉は53銀生で簡単なので……

   同銀、53飛、同銀、同銀成、44玉、

【失敗図】

 53飛打はいかにも芋筋で失敗する。35玉を防ぐ術がない。
 だいたい今の順では飛車と金の打順限定ができていない。

 44桂が邪魔駒というのは罠なのか。
 64銀も邪魔駒に見える。なければ64飛、同と、53金と角道を開けることができる。
 そう考えて初手から銀を捌こうとすると……

53銀成、

   44玉、54成銀、同銀、

【失敗図】

 あっという間に王手がなくなった。
 しかし他にめぼしい手も思いつかない。今の二つを組合わせて攻めたらどうだろう。

(初手より)
53金打、44玉、54金、同玉、44金、同銀、
53銀成、

 これはいい感じだ。

    同銀、64飛、同銀、53金、

 金と飛車の打順の限定ができている。手応えあり。

   同玉、52と引、同金、同と、同玉、
42歩成、

 精算した後持駒金1枚ではちょっと不安になるが、42歩成があった。

   同玉、43金、51玉、41銀成、同玉、
63角成、31玉、

 もう鍋に入った感じだ。

64馬、同と、32銀、22玉、13香成、同玉、
25桂、12玉、23銀成、同玉、33金、12玉、
13桂成、同玉、31角、12玉、22角成まで41手詰

 序の2枚の邪魔駒消去が狙いだろうが、現代的には短編のテーマに見える。しかし、主駒の角を消すというのが古典派の創り方なのだろう。実際に解いてみると、駒がきれいに捌けて爽快だ。

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