詰将棋つくってみた(159) 課題33:講評

Judge:沖昌幸

優秀作

第12問 keima82

正解
33飛成、同桂、35角、同と、44金、同桂、
64銀、同玉、63桂成、同歩、67香、同と、
65歩、同馬、73銀不成まで15手詰

 こちらは前問(第11問)とは逆に飛から順に捨てていく。歩打ちを最終手にはできないので2手長くなるが、7種駒をすべて捨てきるので品質がより高い。
 情弱ながら調べたかぎりでは前例が見つからなかった。しかたない、優秀作だ。

佳作

第9問 山咲優 Translation

正解
33桂、同金、22銀、同玉、13角、同玉、
24銀、同金、23角成、同玉、33金まで11手詰

 こぢんまりした構図のなかで角2枚をいともかんたんに捨てている。Judge子の好みなので佳作とする。

講評

第1問 negitarou

正解
22歩成、同玉、12歩成、同玉、13桂成、同玉、
23角成まで7手詰

 構図が整然としている。42金が退路封鎖と余詰防止を兼ねるうまい配置。
 初手12歩成と22歩成との選択ですこしだけ考え、あとは自然に詰む。トップバッターにふさわしい。

第2問 松田圭市

正解
24桂、同銀、34香、同金、31銀不成、同玉、
43桂まで7手詰

 5手目31銀不成が主眼手だと思われる。そのため詰め上がりで53銀が取り残されていた印象になることも甘受したのだろう。元は42銀打、32玉の2手をくわえた9手詰だったと想像してみる。

第3問 negitarou

正解
36飛、同桂、48角上、同香成、44角、同銀、
23龍まで7手詰

 最終手を成立させるための捨駒ということで手順が統一されている。
 初形の43香の位置は42や41でもよい。このへんの選択は微妙なところ。

第4問 negitarou

正解
61香成、同玉、51香成、同玉、42銀成、同玉、
41飛成まで7手詰

 こちらも最終手に向けての捨駒ということで統一されている。
 駒配置は効率的じゃない。たとえば余詰防止のための65とは、81歩を桂に代えれば省くことができる。

第5問 小笠原哲也

正解
32銀、同馬、24歩、同角、14銀、同玉、
15歩、同玉、25龍まで9手詰

 好手順だが、11歩と13香が不自然なので入れ換えたい。46とを45金にするくらいでどうか。

第6問 武田裕貴

正解
66と、同馬、57歩、同馬、46飛、同馬、
66角成、同玉、67金まで9手詰

 うまくできている。玉方のミニ馬ノコは趣向としてはやや弱いかな。

第7問 やよい

正解
46角、同飛、66銀、同飛、64銀、同飛、
44銀、同飛、66銀まで9手詰

 ①守備飛の1回転を②オール捨駒で③かつ最短手数で実現した。
 ここまでは太刀岡甫作(詰パラ2020年8月号)の前例があって、邪魔駒消去からはじまる手順と機構もよく似ている。
 ④持駒一色という付加価値を評価するも授賞は見送りたい。


参考図 太刀岡甫 詰パラ2020.8
作者:太刀岡甫
66銀、同飛、46角、同飛、44銀打、同飛、64銀、同飛、45馬まで9手詰

第8問 やよい

正解
14香、同銀、23金、同銀、25桂、同歩、
24銀打、同銀、14香まで9手詰

 きれいな手順だが、作者の力からすると物足りない。たとえば回文詰をめざすとか、銀の翻弄を強調するなど発展させられないか…と思う。

第10問 negitarou

正解
11金、同玉、21桂成、同玉、33桂、同歩、
43馬、同桂、32銀成、同玉、41飛成まで11手詰

 だんだんよく鳴るnegitarou太鼓。2桁手数となった。隅辺にこびりつくような形がおもしろい。
 さて、持駒の桂を25に置いてはいかが? 打ち捨てをなくせば手順に統一感が生まれる。また、61馬を角にして初形成駒なしとする統一も考えられる。馬にしたのは成不成非限定を避けたのだろうが、銀の成不成が残っている。

第11問 RINTARO

正解
13歩、同玉、14香、同玉、26桂、同香、
25銀、同香、24金、同玉、35角、同玉、
34飛まで13手詰

 ①7種駒を②歩から順に③連続で打つ④最短手数作という趣向だが、この種のものはあるていどネットで検索できる。すると、たけとひで作(おもちゃ箱2010年7月)が見つかった。
 作者の投稿文には、この作にふれて、自作は2002年頃には完成していたのに発表のチャンスを逃した旨が記されていたとのこと。⑤いちおうオール捨駒となり格上げされてはいるが、いわゆる改良図にあらずとも授賞はためらわれる。

参考図 たけとひで おもちゃ箱2010.7
13歩、同玉、14香、同玉、26桂、同香、25銀、同香、24金、同玉、35角、23玉、13飛まで13手詰

【備考】
 オール捨駒の最長手数は、おもちゃ箱で見ると岡本正貴作の49手らしい。多々ますます弁ず。長いほど尊いのは道理だが、第7・11・12問 のように自動的に手数が定まる作り方で、短くても価値を高める方法もあることが創作初級者の参考になろう。
 なお、第11・12問における手順のさまを詰将棋界では「順列」と形容しているが、これは数学用語の誤用だと思うのでJudge子は使わなかった。

「詰将棋つくってみた(159) 課題33:講評」への3件のフィードバック

  1. 優秀作頂きありがとうございます。他の方の作品の方が質的に優れていると思っていたのですが、偶々私の作品のみ前例がなかったとのことで、運が良かったようです。

  2. 第8問は銀と歩が入れ替わる局面比較がねらいでしたか!
    やよいさん、気づかず申し訳ありませんでした。

  3. 歩→飛の順で捨てる作品として、パラ2017.5のD級順位戦、高木秀夫作「虹をわたって」15手詰がありますね。

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