1 詰将棋の範囲
余詰=不完全ということですから、余詰の範囲を定めると言うことは詰将棋の定義を定める重要な要素であるわけです。
1-1 余詰の禁止
1-1-6 着手非限定
1-1-2 打点非限定で取り上げた「以遠打」は問題なしと感じる人が多数派でした。
同じ事なのですが、次の場合はどうでしょう。
【図14】
- 23飛成、18玉、28龍まで3手詰
- 22飛成、18玉、28龍まで3手詰
- 21飛成、18玉、28龍まで3手詰
初手の成・不成非限定は不問としてください。
着手非限定1 何処まで行くかhttps://t.co/RIkUH1otFt
— 地蔵菩薩 (@kazemidorinew) June 19, 2020
もう慣れてきたので100%問題なしとは期待していません。
それでも問題なしが一番人気で安心しました。
- 52飛成、21玉、22龍まで3手詰
- 62飛成、21玉、22龍まで3手詰
- 72飛成、21玉、22龍まで3手詰
- 82飛成、21玉、22龍まで3手詰
- 92飛成、21玉、22龍まで3手詰
- 12飛成、41玉、52龍まで3手詰
初手の成・不成非限定は不問としてください。
着手非限定2 続・何処まで行くかhttps://t.co/xMj0Vm2pxv
— 地蔵菩薩 (@kazemidorinew) June 19, 2020
飛車がどこまで行って戻ってくるかという同じような状況なのですが、予想通りこちらの方が不完全感(?)が強まります。
筆者は【図14】は「飛車が成る」という目的があるのに対し、【図15】は飛車が慣れるのは既に確定しているのが影響しているのではないかと考えています。
最後に純粋な着手非限定を。
【図16】は「夢の華」の末尾を飾る山田修司「幻影」の収束の部分図です。
「幻影」は山田修司をして次のように語らせる創作困難な構想の傑作です。
49金を目立たなくする意図の序や69銀消去の伏線、ミニ龍鋸などを含む導入部分は自分でも旨くできたと思っているが、結局、合駒で出現する78飛の後処理を含む収束形にえらく手こずって、今一つ詰上がりに満足できる形が得られず、その夢は幻であることを思い知らされた。「幻影」とした意である。
- 23金、21玉、32龍まで3手詰
- 33金、21玉、32龍まで3手詰
13香成の迂回手順は不問としてください。
着手非限定3 金がどっちにいってもhttps://t.co/mWeWjQT5Ij
— 地蔵菩薩 (@kazemidorinew) June 19, 2020
「幻影」を持ち出したのですが、それでも「余詰」と感じる人が多数派です。
守備駒をどんどん遠くに動かしていくなんて見たことないんですけどね。近づけてくるのはいくつかありますが。そういう内容は正解手順の一意性とは別問題だと考えていらっしゃるのでしょう。
長篇を作ってみると、収束を作ろうにも駒が無い・場所がないで非常に苦労します。
詰みさえすればいいんじゃないかと思うのですがねぇ。
1-2 手余りの禁止
詰将棋が産まれた頃は詰上がりに駒が余る作品も存在しました。
しかし、100年も経ずに駒余りの詰将棋は消えたようです。
なので、この点での共通認識の差はないものと思われます。
もちろん、「手余り許容」によって新しい地平が拓かれる可能性はあるかもしれませんが。
ということで、この節は「異議なし」ということにして次に進みましょう。
(つづく)