詰将棋入門(55) 実戦型

脇田博史 詰パラ1951.9


金が質になっているし、上部は26銀が抑えているから易しそうに見える。
流石に初手から32銀成はないだろうから(実際、同玉で33金が打てないので手はあるが不詰)34桂ぐらいでよさそうだ。

ところが初手34桂だと11玉と下がられて詰まない。

23玉は32銀生以下簡単なのでおかしいなと思ったら、11玉と引く手が難しい。
難しいと言うよりもどうやっても詰まないのだ。

この図は11玉と逃がしてはいけない図だったのだ。

次に13角打としてみたら、同桂は32銀成で簡単だが、23玉と躱されて、これは32銀生と金を取っても14玉と潜られて詰まない形だ。(11玉でも12玉でもだめ)

となれば、初手はなけなしの金を手放す13金しか残っていないようだ。

13金、

同桂は32銀成なので11玉だが、次に13金と連携した妙手がある。
33角成だ。指がしなる。

11玉、33角成、

これは11玉となると打歩の局面なのでやってみたい手。

同桂ならば
23桂、同金、12歩以下角の離し打ちで簡単だ。

もちろん同金は22角の1手詰なので、合駒だ。
この合駒選択は難しくない。
揮発性の合駒と考えて
22同馬、同金、23桂、同金、
の局面で12に打てない駒は桂馬しか残っていない。

22桂、

これは同馬ではだめなので、金で喰うしかない。
その後どう詰の構図を作るか。

同金、同金、12歩、同玉、34角、

合駒させて24桂と根拠を作り、22馬で金を取って詰まそうという構想だ。

合駒は飛金銀桂香の5通り。

匂いでは金銀あたりが作意っぽい。

簡単な所から一つ一つ潰していこう。

3手で詰むのは

23飛、

同角成、同金、11飛で終了だ。

金銀は後回しにして今度は逆に香を考えよう。

23香、

24桂、13玉、22馬、

同玉、32銀成、13玉、14金、同玉、25銀、13玉、23角成、同玉、35桂、13玉、14香 まで

途中14金から25銀と包囲を狭めるのが肝であとは手数はかかるが難しくはない。

この手順中
32銀成、13玉に12桂成と攻めたくなるが、14玉で23香が利いてくる。
そこで24桂が健在の内に14金から25銀としたのだが、23が香でなくて桂ならばこの順で早いはずだ。

23桂、24桂、13玉、22馬、同玉、32銀成、13玉、12桂成、

同玉なら22金から23角成、14玉なら25銀。
しかし24玉だと桂馬が35に利いていると一瞬慌てるが、大丈夫。

24玉、35金、同桂、25銀 まで

残るは金と銀。

銀合から考えよう。

23銀、

24桂、13玉、22馬、同玉、32銀成、

銀合の場合はこのとき同銀と取ることも出来る。
念の為に潰しておこう。

同銀、同桂成、同玉、43銀、

43銀と打って金が残っているから詰んでいる。

そこで32銀成にはやはり13玉と逃げることになる。

13玉、12桂成、同銀、

香でないから12桂成が効く。
これを同銀と取れるのが銀合の利点だが

14金、同玉、25銀、13玉、12角成、同玉、24桂、13玉、14銀打 まで

手数は長いが手なりで詰んだ。
歩が余るからこれも変化。

作意は金合だ。

23金打、

攻め筋は同じなのでどんどん進めよう。

24桂、13玉、22馬、同金、14金、同玉、25銀、13玉、12桂成、同金、

銀合と似たような順で詰みそうだとここで12角成としたくなる。
ところが、
同玉、24桂、23玉、
これでギリギリ詰まないのだ。
41銀が成っていないのが痛い。

最後の妙手は渋い手だ。

14歩、22玉、12角成、

14歩と打ってから金を食べるのが正しい順。

これは33玉と逃げる変化も生まれる。が、
33玉、34馬、42玉、52銀成、31玉、43桂、22玉、23金で大丈夫。

したがって同玉とわかれば、あとは手数はかかるが難しいところはない。

同玉、24桂、23玉、32銀不成、33玉、43金、22玉、21銀成、同玉、32金、11玉、23桂まで 35手詰

数えてみると35手もかかっているが、序盤の短篇的連続捨駒(13金~33角成)と中盤の合駒の読み(23金合)で解決する。決してダラダラ手が続くだけの作品ではない、引き締まった実戦型作品だ。

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