このブログを読みに来てくださる方は恐らく将棋というゲームを遊んだことがあるに違いないだろう。将棋を指すということは二人でその時間を共有して楽しむところに本質がある。その記録として棋譜というものを残すことができるが、それは遊びの残骸に過ぎない。そこから二人が何を考え何が起こったのかを読取ることは至難である。
遊んだことはないが茶という遊びもある。主人がどんな趣向を凝らしたか、客はそれを読み取ることができたか。主人と客が共有した時間と空間がその遊びの本質である。記録に残すとしたら「お茶を飲んだ」というだけ。「王手の連続で相手の玉を詰ました」となる詰将棋とどことなく似ている。
歌仙という遊びをご存知だろうか。筆者は一度だけ参加したことがあるのだが、文学的才能がないので四苦八苦だった。発句の五七五に対して次の人が七七をつける。また次の人が五七五をつなげるという連歌の一種で、松尾芭蕉が完成させ流行させた遊びだ。これも完成品は記録に残る。しかし実際にはリーダーが直しを要求したり自ら直したりという作業をするし、参加者が頭を捻り苦心惨憺するその時間と空間が遊びの本質なのだ。巻かれて完成した歌仙は将棋の棋譜と同じ、遊びの熱や興奮を伝えるものではあっても、遊びの目的ではない。
「小川悦勇」タグアーカイブ
名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(9)
名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(8)
さて、宿題の玉方の応手は54歩の中合。皆さん正解されたことと思う。
香は渡さないと他の駒を身代わりに差し出す中合。
桂合も簡単に詰むことを確かめておいて欲しい。
では、この歩合にどう対処するか。
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名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(7)
名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(6)
ではさっそく正解を。
55の香が
もし56にいたら
65角と打って
香を入手することができる。
その香を動かすための駒–今働いていない駒は67金だ。
では56金、同香という手を入れるチャンスは……
初手しかない。
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豊富だった持駒も、いつの間にか寂しくなってきた。
しかし龍で王手しても間駒されて効果はなさそうだし、思い切って飛車を捨てていくしかない。
21飛、同玉、32成香、同玉、
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名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(4)
名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(3)
名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(2)
小川悦勇 『雨滴』第27番 詰パラ2001.7
昨夜、出題した初形図。小川さんの作品の中ではわりと最近の発表(23年前!)なので、知っていたという方も多いだろう。それでもあらためて解いてみると、また楽しめたのではないだろうか。
詰将棋を始めて間もない方は、手数が長い作品に挑戦するのは初めてという場合もあるだろう。大丈夫です。オイラも短いのしか解けません(^^; でも貴殿は解けるようにゆっくり進めますから頑張ってみてください。
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名局精解5 小川悦勇の曲詰を解く(1)
何日か前に「小川悦勇を知らない人に紹介文を書く」といったのだが、詰将棋ファンに作家を紹介するのだから、まず作品だろうと考えた。
そこで15年ぶりに名局精解5として小川作品を取り上げる。
今日は図面のみ。紹介するのは『雨滴』第27番。詰将棋パラダイス2001年7月に発表された作品だ。
初見だったら、こんな幸せなことはない。ぜひ、挑戦してください。
つづきは明日。細切れで進行します。
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