「上田吉一」タグアーカイブ

長編詰将棋の世界(43) 龍追いルートに龍鋸

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.7)

今年は詰将棋作品集が豊作だ。すでに「新約・神詰大全」、「四百人一局集」、「月下推敲」等が発行されている(はずだ)。特に「四百人一局集」は厚みに比例した読み応えのある内容で、今後30年は最も数多に紐解く詰棋書になることは間違いない。
これを機会に全詰連書籍部が活発に活動を始める事を期待してしている。書籍に纏めるというのは意義ある仕事だ。儲からない仕事だから全詰連の出番だろう。スタッフの手弁当に頼る現状は改善されなくてはならないが。
今月は新進気鋭の超長篇。手数は合わせて738手。しかし、読者諸賢はやさ院で「超長篇必ずしも難解ならず」とご理解頂いているはずだ。手順は上手く略記してください。

深和敬斗「宙船」 詰パラ2011.8改

続きを読む 長編詰将棋の世界(43) 龍追いルートに龍鋸

長編詰将棋の世界(42) モジュールまるごと変化伏線

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.7)

 毎年、全国大会が開催されるなんて昔は考えられなかった。詰将棋は一人で遊ぶものという考え方が主流だったからだろうか。しかし、作家にしても解答者が居てくれるからこそ、解答者にしても作家が居てくれるからこそ、詰将棋で遊ぶ事が出来る。年に一度、互いの存在を確認するだけでも有意義であろう。
 若島正「上田さんと長いあいだ(考えてみたら、45年ほどになります)一緒にお付き合いして、互いに刺激を得ながら、こうして詰将棋やチェス・プロブレムを作り続けてくることができたのは、生きていてよかったと思える最大の理由です。そのささやかな記念として、今回の作品を投稿します。」
今月の作者には会場で会えるはずです。

上田吉一 詰パラ2011.7


続きを読む 長編詰将棋の世界(42) モジュールまるごと変化伏線

長編詰将棋の世界(35) 馬金のブルドーザ趣向

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.5)

 かつて山本昭一は新しい内容を問うA型作品と、完成度などで見せるB型作品という概念を提唱した。
 手順に多少既成品の香りがしようと、それを面白いと感じた作者の感性を大事にしてほしい。既発表作との衝突を恐れずにどんどん投稿してくださいということだろう。
 一方で、新しいものだったら配置が汚かろうが収束が貧弱だろうがかまわない。既成の価値観に囚われずばんばん投稿してください。こうも考えていたのではなかろうか。
 上田作。今回入手した3作の中で最も軽く優しい作品。上田作品を解くチャンスです。摩利作。序盤に応手非限定あり。発想してから30年。力のこもった作品です。

上田吉一 詰パラ2011.5


続きを読む 長編詰将棋の世界(35) 馬金のブルドーザ趣向

詰将棋入門(236) 途中で止める持駒変換(前)

上田吉一『極光21』第84番 詰棋めいと1985.3

狭い所で精緻な手順が展開される。詰棋めいとには序を省略した形で発表されたが、『極光21』では原図で収録されている。

上の将棋盤をクリックしたが「動かない!」と思われた方へ。
申し訳ない。上は只の画像。タイトルに(前)とあることに気づかれた方は鋭い。
動く将棋盤は(後)につけます。
続きを読む 詰将棋入門(236) 途中で止める持駒変換(前)

長編詰将棋の世界(33) そこにある一歩を手に入れる

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.4)

 まだまだひよっこの筆者であるが、それでも三十年以上パラと遊んできた。その間ずっと名前を見かける方も多い。嬉しい事だ。新しい人の名前を見つける事も嬉しい。これからの成長への期待にわくわくする。そして、いつの間にか名前を見る事が無くなっていた方が久しぶりに登場する事もある。これまた実に嬉しいものだ。
 待つ事久しかった上田吉一がとうとうパラに還ってきた。どうか圧倒的に多くの解答で帰還を祝福して頂きたい。
 上田作。比較的軽い作品ですが、氏の推敲の鑿の深さを味わってください。菅野作はいつもながらの人に優しい楽しめる作品。しかし、ゆめゆめ油断はなされませぬように。

上田吉一 詰パラ2011.4

棋譜ファイル

続きを読む 長編詰将棋の世界(33) そこにある一歩を手に入れる