「長編詰将棋」タグアーカイブ

長編詰将棋の世界(31) 龍で回転追いの最中に歩香重ね打ち

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.3)

 車寅次郎という男が主役の「男はつらいよ」という映画がある。全48作。この映画を毎年正月休み、元日の早朝に観るのを楽しみにしていた。といっても映画のストーリーを楽しみにしているのでは無い。映画を観るというのではなく、年に一度、寅さんに「会いに行く」という感覚だった。
 ここ数年、楽しみにしているイベントがある。詰将棋解答選手権。いい成績を取ってやろうというのではない。年に一度、上田作品・若島作品に会いに行くという気持ちだ。今年も年に一度の逢瀬を愉しみに出かけるつもりである。
 今月は上田・若島級に成長する事が期待される龍虎の対決だ。決して見逃す事なかれ。

廣瀬崇幹 詰パラ2011.3

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長編詰将棋の世界(29) 攻方主導の三段馬鋸

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.2)

 在庫の中で最も多いのが馬鋸作品だ。
 馬鋸は仕掛けが比較的簡単でバリエーションも多いということがその理由だろう。アレンジしやすいのだ。
 解答者の人気も高い。無駄合について甘く理解されるのも、馬の雄大な動きが人気だからと理解している。
 しかし馬鋸作品もすでに数が非常に多い。誰もがこれは新鮮だと目を見張る作品を創るのは厳しくなってきた。
 今月はそんな閉塞的な状況を打開すべく期待の若手二人が立ち上がる。新鮮味を求めるアプローチの方向がまったく違う所が見物だ。
 いずれも作者の工夫が解れば収束は平易であるので、多数の解答を期待しています。

馬屋原剛 詰パラ2011.2

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長編詰将棋の世界(27) 角合に罠あり

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2011.1)

 あけましておめでとうございます。
 今年もたのしく遊びましょう。
 年頭なので撰題基準を申し上げます。私が「面白い」と思った作品を採用いたします。あまり難しすぎるのは苦手です。でもやはり考える所も欲しい。新人の方は類作を恐れずにどしどし投稿お願いします。
 昨年は(10月までで)Aを343票、Bを68票、Cを4票頂きました。平均点で2.84です。この高得点はもちろん作家の皆様の努力の賜です。拍手を!一方で私の「面白い」感覚が独善ではなかったものと喜んでいます。今年も作家の皆様、解答者の皆様のご支援をよろしくお願いいたします。
 今月も楽しい作品が揃っています。たくさんの解答をお待ちしています。

堀切良太 詰パラ2011.1

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長編詰将棋の世界(24) やけくそ中合と馬鋸

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2010.12)

 一年て実に早いものですね。忙しい師走はやさ院で和んでください。
 前回のやさ院は300手近い大作を出題してしまったが、今回は正真正銘の「やさしい」大学院。多数の解答を待っています。非手数順です。ご不審なきよう。
 広瀬作はまさにコロンブスの卵。桂合がないことは初形を見れば明らかですね。
 中出作は前半はちと考えさせられますが、後半は爽快なドライブが楽しめます。
 佐藤作は歩図式で手数も一番短いが、合駒の綾もあり、ちと手応えあり。しかし作意は明確なので慣れた人には簡単なはず。
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長編詰将棋の世界(22) 飛と飛と金の舞

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉(2010.11)

 あの猛暑は一体何処へ。いつの間にか季節は秋。秋は収穫の季節である。夏休みに創った新しい趣向作、そろそろ推敲も終わってくるはずだ。かつて手がけたが未完成のまま放置してあった野心作も熟してきた頃。仕上げをして世に問うのもこの秋の夜長が最適だ。ああ、きっと今月末にはそんな作品が大量に投稿されてくるに違いない。
 高木作は27年も前の発想だという。じっくり熟成させた風雅な香りを是非味わってください。
 担当を引き受けることになり、すぐに添川さんに手紙を書いた。
「作品ください」
返事が来た。
「投稿します」
 かくして本年は添川作品を柱とした撰題となった。感謝しています。また来年分もよろしくお願いします。

高木秀夫「舞」 詰パラ2010.11

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