伊藤看寿 「夏木立」『将棋図巧』第10番 1755
「夏木立」と後世の人に命名された美しい趣向作。
序さえ越えれば楽しい趣向が現れる。
伊藤看寿の比較的易しい作品が続いたが、本作は非常に難解。
解決の鍵を見つけるのが至難である。
さらに序盤の変化が複雑で狙いの局面に辿り着くことも難しい。
有名な作品。
「朝霧」のタイトルは作者がつけたものではなく,後世の人がつけたとのこと。
この後世の人の功績は大きい。
「図巧6番」ではピンと来なくても「朝霧」といえば,「ああ,あの作品か」とわかる。
話題にのぼる作品にはタイトルをつけてくれるとありがたい。
本作品は81手と長編だが趣向に入ってしまえばスイスイ解けるので,本作を解いて「『図巧』の長編を解いた!」と言ってみてはいかが?
Tweet手が狭いので非常に易しい。この作品で「俺も看寿を解いた!」と言えるようになろう。
続きを読む 詰将棋入門(69) 『将棋図巧』第5番
なんの構想もなく進めてきたこの「詰将棋入門」。
唐突だが第3章に入る。
だったというわけだ。
だんだん詰棋書紹介と被ってきたので第2章はここまでにする。
といっても、「あ、この人を忘れていた」と突然2章に舞い戻る可能性はかなりあるが。
この章に興味のある方は『四百人一局集』を入手されたし。
これまでにも図巧の主要作品は紹介してきた。
第1番、第12番、第49番、第98番、第99番、第100番
せっかくなので、もう少し看寿の作品を紹介していくことにする。
ということになろうか。
谷川先生の本が出て、さらにまもなく平凡社ライブラリからもでるということで原著を入手しやすいだろう。
図は詰将棋入門(49)で取り上げたいわゆる「ブルータス手筋」の作品だ。
この作品については昔から疑問に思っていることがある。
それは、この作品がそんなに難解だったのだろうか?ということだ。
「ブルータス、お前もか!」と叫ぶほど、無解が集まったというのだが……。
続きを読む 詰将棋雑談(18) ブルータス手筋
余詰=不完全ということですから、余詰の範囲を定めると言うことは詰将棋の定義を定める重要な要素であるわけです。
私が詰め将棋嫌いな大きな理由がまさにこの詰め将棋の定義が難しいことにある・・。
— ぽこ君 (@nekosaikyou) March 1, 2012
こんなツイートみつけました。
続きを読む 詰将棋のルール論争(4) 余詰の禁止(つづき\(^3\))
74馬、83飛、同馬、同歩、93飛、81玉、83飛不成、82銀、
93桂、91玉、92歩、同玉、84桂、91玉、81桂成、同玉、
73桂、91玉、92桂成、同玉、93銀成、同銀、81飛成まで23手詰
続きを読む 二流作家のメンタルヘルス(6)
巻尾は「寿」と後世の人に称えられた長手数作品である。
詰将棋の歴史は初代大橋宗桂「象戯造物」(1602年)から始まるが長手数と言っても100手を超す作品は創られることはなかった。1734年に看寿の兄である三代伊藤宗看が223手詰を発表した。その20年後、伊藤看寿はなんと611手という作品を創る。
一体何故、そんなに手数がかかるのか。その仕組みを簡単に解説する。
続きを読む 詰将棋入門(4) 「寿」611手詰
98番と見開きで並んでいる本作99番はその対称性からインパクト抜群だ。
98番が盤面最少の1枚なのに、本図は数えてみればわかるが(JSの図面は玉方持駒も表示されているので便利)39枚。使用駒39枚が標準である詰将棋の世界では、これを「全駒図式」と呼ぶ。持駒は「なし」というのが約束だ。
続きを読む 詰将棋入門(3) 「煙詰」