「長編詰将棋」タグアーカイブ

長編詰将棋の世界(20) 単なる煙詰 

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉 (2010.10)

谷川浩司 単なる煙詰では今は評価されませんからね。
 慥かに資本主義社会において物を売ろうとするならば、色々な肩書きがあった方が有利だ。三ツ星レストランに観光客は殺到する。
 双玉煙、周辺巡煙、無防備煙、七種合煙と煙詰の肩書きも増える一方だ。。「全駒市松七種合煙の1号局で最長手数さらに看寿賞受賞作です」といわれれば、どんな素人でも凄いと判る。
 では単なる煙詰は本当に評価されないのだろうか。
 心配無用だろう。パラ読者は観光客でも素人でもない。肩書きの有無でなく、自らの感覚で良い物は良いと判断する気概を持っている筈だ。

安武翔太「落葉」 詰パラ2010.10

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長編詰将棋の世界(18) 双玉鶯図式の都煙

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉 (2010.09)

 話題の新刊「この詰将棋がすごい!2010」の中で伊藤正さんが次のように語っている。
 「煙詰創作というハードルがけっこう手頃なんですよね。ちょっと努力すればできる、という高さ。100メートル走で言えば15秒の壁、というくらいかな。10秒で走るのはむずかしいけど、15秒なら、という」
 伊藤さんの「ちょっと努力」がどのくらいの質量なのか想像しがたいが、「天女」「月蝕」の作者が言うことなのだから間違いあるまい。
 この刺激的な文章を読んだ若者達よ、15秒を目指して走り出して欲しい。伊藤さんは10秒の作品を投稿プリーズ!

岡村孝雄「月下美人は二度咲く」 詰パラ2010.9

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長編詰将棋の世界(16) 変化伏線の歩香重ね打ち

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉 (2010.08)

 全国大会ではみなさまお疲れ様でした。スタッフの皆様ありがとうございました。
 今月は夏休み。それに相応しい骨のある作品を用意した。骨があるといっても初手からガチガチでとても歯が立たないといった料理は趣味ではない。(誰だって同意するだろう)
 口当たりは柔らかいが、手が進むほどにコクがあり、やがて作者の仕掛けた狙いがくっきりとその輪郭を現してくる。そのような料理が好みだ。
 今月の2作、見かけも手触りもまったく違う分野の作品のように見えるが、その構造は共通している。手順の奥に極上の謎が浮かび上がってくる。
 骨をしゃぶるのが一番旨い!是非みなさん味わってください。

森敏宏 詰パラ2010.8

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長編詰将棋の世界(14) 府中を4周半

2010.1から3年半続けた詰パラ大学院での解説の再録です。

選題の言葉 (2010.07)

 「最長手数記録ですか」という言葉をよく見かける。その作品の狙いと長手数であることが密接な関係ならばわかる。が、どうもそうとは限らない。
 手数が長い方が高級な詰将棋。そう思い込んでいるのは、どうも初心者だけではないようだ。
 このような風潮が続くと。そのうち「双方不成の長手数記録作です」なんて投稿でも来るのではないかと心配だ。
 計測可能な「量」にばかり目がいくと、「質」を語る言葉が痩せ衰えてしまわないか。
 今月の2作は長手数記録作ではありません(たぶん)。でも絶対に面白い。解かないと、ソンです。
 後期は期待の若手二人で華やかに幕開けすることができて最高に幸せ。

馬屋原剛「馬レース」詰パラ2010.7

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