「詰将棋雑談」タグアーカイブ

詰将棋雑談(31) 推敲したら同一図

初心者向けにいい手が入っていてかつ難しすぎない簡潔な図を作ろうとすると「同一図」という陥穽に嵌りやすい。
そこで作図家は手数を長くしたり,妙に難しい手を入れようとしたりと捻じれていってしまいがちになる。

しかし,推敲していった結果,同一図に至ったとするのならば,その図はある意味究極の仕上がりということではないだろうか。

昔,金頭桂の手筋–桂馬を捨てることで金の守備力を奪うあの基本手筋だ–を簡潔に作ろうとして次の図を得た。

手順は書くまでもないが
12銀、同飛、22銀、同飛、23桂、同飛、12金まで
の7手詰だ。

これは一応完成している。
これ以上駒数は削減できない。
が,眺めていると推敲案が浮かんでくる。
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詰将棋雑談(28) 玉方銀の一回転

昨日,「数日後」と書きましたが,どうせかぶっているのですぐに出すことにしました。
さて図巧#55の銀の回転テーマは,その後どのように展開されていったのかを眺めてみましょう。
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詰将棋雑談(26) 角による歩の連取り趣向

図巧第39番は大発展し、一分野を築くことになるが、連取りする駒を歩から香などに替えたり、主駒を角から飛車に替えたりしない、謂わば直系の子孫はさほど数多くない。入手する歩を処理するアイデアといえば看寿の角不成が自然で、これに何を付け加えても蛇足ではないかと思わせる力を持っている。

歩の連取りが発展するのは逆順に連取りする上田吉一「五月晴」(1972)以降だ。
歩以外の駒を入手できるので様々な発展が可能になった。

ここでは直系の子孫–即ち主駒が角で歩を近い方から取って行くタイプ–で記憶に残る作品を並べてみよう。
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詰将棋雑談(24) ABC評価についての考察

詰パラで解答するときにABC評価をつけることが多い。

これが考えてみると難しい。

今月の五題の内でこれが一番いいからA、これは一番面白くないからC、残りはBだな。

こんな感じで相対評価でつけると、何月号に載ったかで評価が違ってしまう。
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詰将棋雑談(23) 夏木立趣向

詰将棋入門(72)で「夏木立」趣向を守備駒の移動を伴った取れない捨駒による追い趣向という認識としたが、異論のコメントはなかった。
確認するために『漫陀楽』を繙いたが、「夏木立趣向」という言葉は無く、守備駒移動を伴う捨て追い趣向に「夏木立型」と命名してあった。

考えてみると、「取れない捨駒で追う」趣向というだけで稀少だ。さらに守備駒移動も伴うとなればさらに数少ない。

というわけで、かなりポンコツになった頭の記憶に頼って探してみた結果が以下の通り。
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詰将棋雑談(22) 「扇詰」と「新扇詰」別案

「新扇詰」で次のように書いた。 【13週目start】

香を桂に換えた。 これで桂馬を入手したからもう1周した後38桂で終わりだろうと誰もが思うだろう。 すでに看寿の611手は更新している。 ところが奥薗幸雄の凄いところは、ここで満足せず、さらに工夫を重ねていることだ。

これは勿論嘘ではないが、作者目線で見ると「工夫をせざるを得ない事情がある」となる。
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